SEWING
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/08 15:58 UTC 版)
SEWING (原宿ファッション物語) |
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漫画 | |
作者 | 柳沢きみお |
出版社 | 秋田書店 講談社(KCSP版) |
掲載誌 | 週刊少年チャンピオン |
レーベル | 少年チャンピオンコミックス (SCC) KCSP |
発表号 | 1983年22号 - 1985年20号 |
巻数 | SCC:全11巻 KCSP:全6巻(原宿ファッション物語) |
テンプレート - ノート | |
プロジェクト | 漫画 |
ポータル | 漫画 |
『SEWING』(ソーイング)は、柳沢きみおによる日本の漫画。『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)にて1983年22号から1985年20号まで連載された。単行本は少年チャンピオンコミックス(秋田書店)から全11巻が発行、その後『原宿ファッション物語』と改題して、KCSP(講談社)から全6巻が発行された。
『朱に赤』ではラブコメに否定的になっていた柳沢が、同作品終了以降に少年誌に連載した作品である。2人の少年を軸に、ファッションデザイナーやモデルを目指す人達を描く。ラブコメの手法を組み込んでいてさまざまな恋愛が描かれる反面、登場人物の1人が妊娠、出産するなど重い展開も描かれている。
柳沢は同時期に青年誌に連載をもっていて、この作品以降、軸足を青年誌に移していくことになる。
あらすじ
谷津にとって須藤は初めての親友といえる存在だった。須藤の後押しもあって谷津は白高の洋裁部に入部する。谷津は高校のファッションショーにクラスメートの神崎にモデルを依頼する。分厚い眼鏡をかけた地味な彼女だったが、谷津は気になっていた。引っ越し事になった神崎は思いでつくりのためにモデルを引き受ける。作る服のイメージのために彼女の素顔を見せてもらう。眼鏡をはずした彼女の素顔に心を奪われる谷津。ファッションショーが終わり、離れ離れになる2人。2年後、東京のB服装学院に入学した谷津は偶然神崎に再会する。
登場人物
主要人物
- 谷津 賢三(やづ けんぞう)
- 主人公。物語開始時点で東京のB服装学院に進学することを考えている。そのため白校の洋裁部に入部したいのだが、女性だらけのため入るのをためらっている。
- 須藤 正美(すどう まさみ)
- 高校の友人。成績優秀ながら校則違反であるバイク通学やたまり場での飲酒など不良めいたところがある。
- 幼少時に開業医である叔父夫婦の元に跡継ぎとして養子に出される。本人もそのことは認識しており、実親とも交流を続けている。
- 神崎 袂(かんざき たもと)
- 高校の友人。身長171cm。背の高さにコンプレックスを抱いており、少しでも目立たないよう瓶底眼鏡とおさげに猫背。
- 夏のファッションショーで賢三にモデルを頼まれたことで交流を持ち始めるが、その後に東京へ転校することとなる。しかし、ファッションショーでの経験や賢三からの励ましがきっかけでコンプレックスを克服。東京ではモデル仲間の親友が出来、その兄と交際をすることになった。
北高洋裁部
毎年七月の第一土曜日と秋の文化祭にファッションショーを行っている。
- 川上 留衣(かわかみ るい)
- 谷津同様に、デザイナーを目指している。須藤とつきあっていたが、須藤失踪後、谷津と付き合うようになるが須藤の事を忘れられないでいる。
- 小田(おだ)
- 女性的な言動が多く、通称は「北高の玉三郎」。実家は料亭だがデザイナーを目指しており、後にB服装学院に進学。
- 部長に片思いをしていたが、熊井との結婚を知っているため夏のファッションショーで制作したウエディングドレスを式に着てもらう約束をして気持ちに区切りをつけた。
- 小夜子(さよこ)
- 部長。卒業後に熊井との結婚が決まっている。
- 熊井(くまい)
- 週に一度、洋裁部へ指導にくるデザイナー。普段は東京のブティックに「KUMA」として卸しており人気が出始めている。しかし、人気が落ちてお店を閉めることとなった。これは主人公にとって一国一城の主となることの厳しさを伝えることとなった。
服装学院の人達
B服装学院は新宿にある設定。谷津は服飾専門課程、川上はファッション工科専門課程に進学する。
- 三浦 つとむ(みうら つとむ)
- 入学試験の際、隣に座っていたことから谷津と知り合いになる。新潟県出身。デザイナーの高田賢三を尊敬している。
- 江田 年郎(えだ としろう)
- 鹿児島出身。谷津のクラスメイト。
- 曽根 直子(そね なおこ)
- 谷津のクラスメイト。川上と別れた谷津と一時期、恋人関係になる。しかし、谷津が神崎と偶然再会したあたりから関係がギクシャクしていく。
原宿の人達
三浦が原宿で店「アトリエYON」を出すことになり、その店の商品として、谷津も自分のデザインした服を売り出すことになる。
- 真木 浩(まき ひろし)
- 通称マキ。原宿に3坪の小さい店を出している。外国メーカーと専属契約するほどの実力を持つ。川上に好意を持っている。
- 山田(やまだ)
- 美容師。原宿に自分の店を持つ野望を持っている。
- 奥田(おくだ)
- ブティックストロベリーの店長。アトリエYONから離れた谷津の作品に興味を持ち、店に置くよう話を持ちかける。
- 安西 ひとみ(あんざい ひとみ)
- ブティックストロベリーの店員だったが、ハウスマヌカンになるため店をやめる。三浦と恋人関係になる。
その他
- 田島(たじま)
- 通称ヌシ。白校の近くのマンションの一室を開放して、若者のたまり場を作っている。須藤に家出する事を進め、東京で身を寄せる場所も提供した。須藤がソーイング賞を取ってからは、スポンサーとして店に出資している。
- ベチ
- 作者。漫画内の1コーナー「ベチの原宿日誌」で近況を報告している。『月とスッポン』の着物姿ではなく、Tシャツにジーパン姿である。
裁縫
(SEWING から転送)
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裁縫(さいほう)は、布地を裁って衣服などに縫いあげること[1]。針仕事、ソーイングとも。工場ではおもに縫製と言う。
概要
布地を裁って衣服などに縫いあげること[2]。なお衣服を制作する行為は仕立て(したて)ともいう。
服作りの作業全般を指すための用語であり、実際には材料の選択から始まり、裁断、縫い、さらに着装、保存の技能までを含む[3]。
なお、笹本の論文(1998)には手芸と裁縫は異なる概念だと書いてある。
種類
各国にそれぞれの裁縫がある。たとえばモンゴルにはモンゴル伝統のモンゴル服の裁縫があり、韓国には韓国服の裁縫がある。そして西洋式の服装が世界に広まったので、それぞれの国で伝統服の裁縫と洋服の裁縫が行われている。
江戸時代までの日本では、和服を作る裁縫が行われていたが、明治以降の日本では洋服も着用するようになったので、洋裁(洋服を作ること)と和裁(和服を作ること)に分類する。現代で一般的なのは洋裁のほうである。
洋裁・和裁のいずれも、家庭裁縫(英: home sewing)と家庭外の裁縫(主にプロによる裁縫)とがあり[3]、どちらも裁縫である。
なお、広義には、服だけでなく、服よりも簡単なものを作るために布地を裁ち縫うことを指すこともある。たとえば、小学・中学の教科の家庭科や技術・家庭のカリキュラムで「裁縫」として生徒に行わせるのは、たとえばぞうきん作りや簡単な布製のカバン作りなどである。ただし、布を裁つ作業や、縫う作業がしっかり含まれる。
- 広義の裁縫
裁縫をもっと広く解釈していて、「糸や布を用いた手仕事」だという[4]。
この広義の意味で使うとすると、「手芸」という用語とどれだけ意味が重なるか、どのように「裁縫」と「手芸」という用語を使い分ければよいかが問題なるが、飯塚信雄は「裁縫」と「手芸」の違いについて、裁縫(針仕事)は純粋に機能性を求めるのに対し、手芸は機能性とともに装飾性を求める点で異なるとしているが、一方で手芸の場合は必ずしも針仕事に限られないという違いもある[4]。なお、日本語の「手芸」と「裁縫」の関係については、1895年(明治28年)高等女学校規程で裁縫が実生活の観点から必須科目、手芸が「勤勉ヲ好ムノ習慣ヲ養フ」観点から随意科目に編入され、目的の異なる科目として成立した経緯がある[4]。
歴史
多くの文化で、石器時代には縫物をしていた形跡が見られた。骨やシカの角、木材から針が作られ、動物の腱・消化器カットグット・植物のツタなどが紐として縫物が行われていた[5]。
機械化以前は衣服は貴重品であり、針仕事は衣服を長持ちさせる重要な仕事であった。長い間、女性の仕事であり、日本でもヨーロッパでも針箱・裁縫道具が嫁入り道具であった[6][7]。
江戸時代では裁縫をする人は針妙(しんみょう)や針子(はりこ)、お針子とも呼ばれた。
現代のアパレル工場では、ライン方式で分業制で作業内容ごとに細かく分けて分担し、大量生産している。縫う作業を担当する人のことは「ソーイングスタッフ」や縫製技術者という。
アパレル工場では自動化が進行しており、自動検反[注 1]システム、自動裁断システム、自動袖付けミシン、自動ボタン付けミシン、自動縫製システムなどが使われるようになって、裁縫は労働集約的では無くなってきている[8][注釈 1]。
洋裁
和裁
手縫いと縫製
手と針で縫うことを手縫いといい、ミシンで縫うことを縫製という。
手縫い
裁縫(針仕事)には、糸、布、針などを用いる。
基本的な縫製手法を基礎縫いという。
- 縫い方
- 糸の処理
縫製
ミシンで縫うこと。
他
教育や学習
いわゆる裁縫学校やファッション専門学校で教育が行われている。文化服装学院、織田ファッション専門学校、東京モード学園、大阪モード学園、今泉服飾専門学校などである。
高校の被服科や服飾デザイン科で服作りを教えている。大学では、被服学あるいは被服構成学の一部として裁縫が教授される場合がある。
その他、カルチャーセンターや公民館に洋裁や和裁のコースがある。NHKの番組『すてきにハンドメイド』のソーイングの回でも洋裁が教えられている。
裁縫の技能資格
裁縫に関連する技能資格を下に挙げる。
道具
縫い針、まち針、ピンクッション、手縫い糸、糸はさみ、裁ちばさみ、チャコペン、巻き尺。裁縫道具を収める箱は裁縫箱という。
ミシン、ミシン糸、ボビン。
脚注
- ^ 「裁縫」 。コトバンクより2025年5月1日閲覧。
- ^ デジタル大辞泉
- ^ a b 『改訂新版 世界大百科事典』 「裁縫」
- ^ a b c 笹本(山崎)明子「明治国家における女性役割と「手芸」」『千葉大学社会文化科学研究科研究プロジェクト報告書』第8号、千葉大学大学院社会文化科学研究科、1998年、1-15頁、ISSN 2434-8473、 NAID 120005908260、2021=04-01閲覧 エラー: 閲覧日が正しく記入されていません。。
- ^ “Hand Embroidery Stitches and Stitch Families” (英語). Sarah's Hand Embroidery Tutorials. 2022年7月10日閲覧。
- ^ “針箱[ハリバコ]”. www.city.iwakura.aichi.jp. 2022年7月10日閲覧。
- ^ Whiting, Gertrude (1971年). “Old-time tools and toys of needlework”. New York, Dover Publications. 2022年7月10日閲覧。
- ^ ミシン縫製工 H558 06~09 ハローワークインターネットサービス
- ^ ロボット化進む縫製工場 勝者は米国、敗者は? - WSJ
- ^ a b c d 基礎縫い 愛知和服裁縫業協同組合、2020年12月26日閲覧。
- ^ 検反(けんたん)とは、衣服の材料となる布地に汚れや傷があるか無いかあらかじめ検査すること。衣服の材料の布地を古風な言い方では反物(たんもの)と呼んだので、反物を検査するからこう呼ばれるようになった。
関連項目
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