MEMSジャイロセンサー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/24 16:19 UTC 版)
「フーコーの振り子」の記事における「MEMSジャイロセンサー」の解説
スマートフォンやデジタルカメラなどに、本体の姿勢を検知するためにジャイロセンサーを内蔵した電子機器が数多く存在している。これらジャイロセンサーは振動型ジャイロスコープと呼ばれる種類が一般的で、半導体集積回路の製造技術から発展したMEMSと呼ばれる技術によって作りだされた。MEMSジャイロスコープは、角速度を出力するため回転角を取得するためには出力信号を積分する必要がある。しかし角速度信号は不安定で、これを積分すると経過時間と共に誤差が蓄積する現象(ドリフト現象)が発生することが知られている。 一方、「フーコーの振り子」は、ゆっくりとした地球の回転を測定できる高性能な積分ジャイロセンサーとみなすこともできる。フーコーの振り子を半導体チップ上に実現したデバイスを「全角度モード・ジャイロスコープ(英: Whole angle mode gyroscope)」と呼ぶ。例えば2011年に、カリフォルニア大学アーバイン校のマイクロシステム研究室は、MEMS技術を応用して半導体マイクロチップの上に「フーコーの振り子」を作ることに成功したと発表した。 「全角度モード・ジャイロスコープ」には、弦と錘の単振り子が入っているわけではなく、「プルーフマス(英: Proof mass、試験質量)」と呼ばれるものが使われている。これは試験質量を x {\displaystyle x} 軸、 y {\displaystyle y} 軸に沿った方向にバネで支持して振動させ、各軸の変位を観測することで角速度を検出する。「全角度モード・ジャイロスコープ」はさらに、 x {\displaystyle x} 軸方向と y {\displaystyle y} 軸方向の振動を完全対称(周波数、振幅、Q値などを同一)にすると、試験質量にはコリオリ力が働き、フーコーの振り子と同じく振動面が回転する。 カリフォルニア大学アーバイン校のマイクロシステム研究室が作成したものは、4つの「プルーフマス」を使用した全角度モード・ジャイロスコープである。彼らの主張によると、事実上入力角度の範囲は無制限で、ドリフト現象も1時間あたり0.5度以下に抑えられたとしている。 2020年1月22日、東芝が国際学会IEEE-MEMS 2020において、MEMS技術を用いた積分型ジャイロスコープ(Rate Integrating Gyroscope:略してRIG)の小型センサーモジュールを発表した。振動子に独自のドーナツマス構造を採用し、温度が変化しても縦横の振動特性が等しく変化し、対称性が保たれるので、温度変化による感度への影響が極めて小さいとしている。
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