DPANN群とは? わかりやすく解説

ナノブデラ界

(DPANN群 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/11 03:32 UTC 版)

ナノブデラ界
Ca. P. acidiphilumの電子顕微鏡写真
分類
ドメイン : 古細菌 Archaea
: ナノブデラ界 Nanobdellati
学名
Nanobdellati Rinke et al. 2024

ナノブデラ界(なのぶでらかい、Nanobdellati )とは、2024年に提唱された古細菌である[1]。他の古細菌と比較して大きさやゲノムサイズが小さく、寄生性の種が多い。以前はDPANN群と呼ばれていた。

この分類群は長枝誘引によるアーティファクトとする主張もある。進化速度を考慮した解析では、ナノブデラ界に分類されている生物は単系統ではなく、門ごとに個別にメタノバクテリウム界に属すことが示唆されている[2][3][4][5]

含まれる種

2025年8月時点では、Nanobdella aerobiophilaMicrocaldus variisymbioticusの2種が記載されている。何れもMetallosphaeraという古細菌の寄生体として分離され、好気条件で増殖する好熱菌だが、系統や性質にはかなりの差がある。後者はTCA回路や電子伝達系の遺伝子を備え、外膜を持ち、宿主範囲も比較的広いが、前者はTCA回路の遺伝子に欠損があり、外膜を持たず、宿主範囲も極めて狭い[6]

これ以外にも嫌気性や常温性、非寄生性の種も含まれると考えられているが、記載されている種は無い。

参考文献

  1. ^ Göker, Markus; Oren, Aharon (22 January 2024). “Valid publication of names of two domains and seven kingdoms of prokaryotes” (英語). International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology 74 (1). doi:10.1099/ijsem.0.006242. ISSN 1466-5026. PMID 38252124. https://www.researchgate.net/publication/377596825. 
  2. ^ Nina Dombrowski, Jun-Hoe Lee, Tom A Williams, Pierre Offre, Anja Spang (2019). Genomic diversity, lifestyles and evolutionary origins of DPANN archaea. Nature.
  3. ^ Cavalier-Smith, Thomas; Chao, Ema E-Yung (2020). “Multidomain ribosomal protein trees and the planctobacterial origin of neomura (Eukaryotes, archaebacteria)”. Protoplasma 257 (3): 621–753. doi:10.1007/s00709-019-01442-7. PMC 7203096. PMID 31900730. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7203096/. 
  4. ^ Jordan T. Bird, Brett J. Baker, Alexander J. Probst, Mircea Podar, Karen G. Lloyd (2017). Culture Independent Genomic Comparisons Reveal Environmental Adaptations for Altiarchaeales. Frontiers.
  5. ^ Petitjean, C., Deschamps, P., López-García, P., and Moreira, D. (2014). “Rooting the Domain archaea by phylogenomic analysis supports the foundation of the new kingdom proteoarchaeota.”. Genome Biol. Evol. 7: 191-204. 
  6. ^ Kato, Shingo; Ogasawara, Ayaka; Itoh, Takashi; Sakai, Hiroyuki D.; Shimizu, Michiru; Yuki, Masahiro; Kaneko, Masanori; Takashina, Tomonori et al. (3 August 2022). “Nanobdella aerobiophila gen. nov., sp. nov., a thermoacidophilic, obligate ectosymbiotic archaeon, and proposal of Nanobdellaceae fam. nov., Nanobdellales ord. nov. and Nanobdellia class. nov.”. International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology 72 (8). doi:10.1099/ijsem.0.005489. PMID 35993221. 

DPANN群

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/15 07:57 UTC 版)

古細菌」の記事における「DPANN群」の解説

詳細は「DPANN群」を参照 集積培養環境DNAのみだが、極端に細胞ゲノムサイズ小さい。古細菌中でもっとも初期別れた系統とする系統解析例が多いが、特殊化したユーリ古細菌とする見解もある。 "ディアペロトリテス門" 明神海丘伊豆・小笠原弧)の水深1330mにあるブラックスモーカーより最初に報告されたもの。ホームステーク金山跡の地下水から検出され集団は、ゲノム解析から従属栄養生物予想されている。同時にナノ古細菌などと同様の寄生生物から進化した可能性言及されている。提案され古細菌門の中では、唯一-archaeotaを語尾持たない。 "パルウ古細菌門" テルモプラズマ目古細菌に関係(寄生可能性もある)。非常に細胞サイズ小さ特徴がある。 "ミクル古細菌" パルウ古細菌同様テルモプラズマ古細菌関係し細胞サイズ小さい。細胞サイズ小ささは全生物でもトップクラスで、長さ200 nm×幅60 nm体積も0.009 μm3から0.04 μm3しかない。ただし系統はやや離れる。 "アエニグム古細菌門" 深海熱水噴出孔存在する系統。 "ナノ好塩古細菌門" 高塩環境分布するハロバクテリウム綱とは別系統。 "ナノ古細菌門" クレン古細菌寄生するゲノムサイズが非常に小さい。最初に発見され、Ignicoccus hospitalisに寄生する"Ca. Nanoarchaeum equitans"は、ゲノムサイズ古細菌最少490885塩基対しかない

※この「DPANN群」の解説は、「古細菌」の解説の一部です。
「DPANN群」を含む「古細菌」の記事については、「古細菌」の概要を参照ください。

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