DNMTによるメチル化と発現制御(真核生物)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/15 05:53 UTC 版)
「5-メチルシトシン」の記事における「DNMTによるメチル化と発現制御(真核生物)」の解説
5mCのメチル基は、DNAメチルトランスフェラーゼ (DNMT)を介してゲノムDNA中のシトシンに付加される。ヒトゲノム中では、DNMT1、DNMT2、DNMT3A、DNMT3B、およびDNMT3Lの5つのDNMTが知られている。藻類および菌類には、DNMT4、DNMT5、およびDNMT6の3つがさらに存在する。 DNMT1には、RFTS(replication foci targeting sequence)と、5mCマークの追加を触媒するCXXCドメインが含まれている。RFTSはDNMT1をDNA複製の遺伝子座に導き、DNA複製中の娘鎖上の5mCの維持を支援する。CXXCはDNAへのメチル化のde novo付加のためのジンクフィンガードメインを含む 。多くのヒトの体組織において、DNMT1は支配的なDNAメチルトランスフェラーゼであること知られている。 DNMT3AとDNMT3Bは主にde novoメチル化を担当し、DNMT1は複製後に5mCマークを維持する役割を持つ。DNMTは互いに相互作用して、メチル化能力を高めている。たとえば、2つのDNMT3Lは2つのDNMT3Aと複合体を形成してDNAとの相互作用を改善し、メチル化を促進する 。DNMTの発現の変化は、異常なメチル化をもたらす。過剰発現することでメチル化の増加をもたらし、逆に酵素を破壊するとメチル化のレベルは低下する。 付加のメカニズムは次のとおりである 。 DNMTのPCQモチーフのシステイン残基が、メチル化されるシトシンヌクレオチドの炭素6に求核攻撃を引き起こす。 S-アデノシルメチオニンは、メチル基を炭素5に供与する。 DNMT酵素の塩基は、5位の炭素の残留水素を脱プロトン化して、5位と6位の炭素間の二重結合を復元し、5-メチルシトシン塩基対を生成する。
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