クリスタル
【英】: contract regarding an interim supplement to tanker liability for oil pollution
略語: CRISTAL
船舶による油濁事故が発生した場合、その責任は船主に帰属するが、荷主である石油会社もその責任の一端を負担すべきであり、船主責任の限度を超えた損害に対しては、石油会社も積極的に被害者補償の役割を果たすべきであるとの自覚の下に、世界の主要石油会社が参画して発足(1971 年 4 月 1 日発効)したのが、クリスタル協定である。 正式名の邦訳は、「タンカーの油濁責任に対する臨時追加補償制度に関する協定」である。この協定は、あくまで船主の責任を補完することを目的としており、国際基金条約の内容を先取りする形で発足したものであるが、トバロップと同じく、1978 年 6 月、その内容を国際基金条約と一致させるよう改正が行われ、次のとおりとなった。 (1) 補償限度額:条約トンあたり 120 ドルまたは 10 百万ドルのいずれか少ない額を超え、最高 36 百万ドル(裁量により倍額可能)。また、国際基金条約と同様クリスタルから船主に対する補填{ほてん}が行われる。 (2) 補償条件:(i) 油濁事故が国際基金条約の適用を受けないケースであること、(ii) 流出油の所有者がクリスタルのメンバーであること、(iii) 本船がトバロップに加入していること、(iv) 油濁民事責任条約にいう免責事由に該当しないこと。 なお、本協定およびトバロップは油濁関係の 2 条約に対応するものとして設立された民間による補償機関であるが、世界の海運国の大部分が両条約を批准するのは相当先と思われ、今後当分の間は引き続き存続し、その役割を果たすこととなる。 |

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