COMファイル
【英】COM file
COMファイルとは、MS-DOSにおける、最も単純な形式の実行可能なプログラムのファイル形式のことである。通常、拡張子としては「.COM」が付く。
COMファイルは、プログラムコードとデータ部を単一のセグメントに持つ。ファイルサイズは、最大64Kバイトとなっている。EXE形式と違い、リロケーション情報は持たず、そのままメモリに展開される。
COMファイルの「COM」は、コマンド(command)に由来する。なお、拡張子が.COMだからといって必ずしもCOMファイルとは限らず、Windowsのシステムファイルに互換性があるため、拡張子は.COMであるが実際にはEXE形式のファイルであるような場合がある。
COMファイル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/15 13:59 UTC 版)
拡張子 | .COM |
---|---|
MIMEタイプ | application/x-dosexec |
種別 | 実行可能ファイル |
COMファイル (コムファイル、COM file) は、実行可能ファイル形式の一つ。語源はcommand(命令)。拡張子は「.COM」(本来は大文字)だが、トップレベルドメインの.com (commercial) とは無関係。
実行時のメモリイメージがそのままファイルとなっている、最も単純な実行可能ファイル形式である。
MS-DOSのCOMファイルはコンピュータウイルスCascadeに感染する。
歴史
拡張子.COMの実行ファイルは古くからあったが、現在の形式のものはCP/Mで使われ、CP/Mを元にしたMS-DOSにも採用された。ただし、CPU(CP/Mは8080系、MS-DOSは8086系)や割り込みの仕様の違いのため、互換性は乏しい。CP/MとMS-DOSの両方で実行できるファイルも作れるが、両方のコードを収録するためファイルサイズが大きくなる。また、8086系CPUを対象にしたCP/M-86では拡張子は.COMではなく.CMDである(Windows NT系の.CMDファイルとは無関係)。
MS-DOSには、ほかに2つの実行可能ファイル形式、EXEファイルとBATファイルがあった。EXEとBATはMicrosoft Windowsにも採用されたが、COMファイルは廃止された(仮想DOSマシン上では実行可能)。
内容
実行時のメモリイメージがそのままファイルとなっており、ファイルの内容を0100番地からメモリに展開(ロード)し先頭にジャンプすれば、直ちに実行が始まる。ファイルヘッダなどいっさいのメタデータを含まず、これは、EXEヘッダからファイルが始まるEXEファイルとの大きな違いである。ファイルの内容全部をロードしてから実行する点も、全部を一度にロードするとは限らないEXEファイルとの違いである。
セグメントがコードもデータも含め1つであり、これは複数のセグメントを持つことができるEXEファイルとは異なる。このため、ファイルサイズは最大で65279バイト(8086系CPUのセグメントサイズである64キロバイトからメモリ展開時のオフセットの256バイトとスタックの1バイトを引いた値)である。ファイルサイズがこれを超える場合は、メモリの空きがいくらあっても「プログラムが大きすぎてメモリに入りません」(Program too big to fit in memory) または「(ファイル名) は実行できません」(Cannot execute (ファイル名)) とエラー表示され実行されない(この制限はロード時であり、実行中にセグメントを変更したり64キロバイトを超えるプログラムやデータを読み込むことは可能である)。8080系CPUのCP/Mの場合も同様に0100番地にロードされるが、メモリの上位にCP/Mのシステムが常駐しているため、ロードできるファイルサイズの上限はさらに小さくなる。
また、メタデータがないため極小の実行可能ファイルを作ることができる。これらの理由で、一般に、EXEファイルより小さいことが多い。最小は1バイトで、0バイトではエラーになる。
Windows 9x系にある COMMAND.COM は、拡張子は.COMであるが内容はEXEファイルであり、ファイルサイズも64キロバイトを超えている。
実行優先順位
MS-DOSの実行可能ファイル形式のうち、デフォルトでは最も実行優先順位が高い。したがって、MS-DOSバージョン4以降で拡張子を省略してコマンド「notepad」をコマンドラインに入力した時、他の実行可能形式「notepad.exe」「notepad.bat」が存在する場合でも、「notepad.com」があればこれが実行される。バージョン3まででは拡張子を指定しても、「notepad.com」があればこれが実行される。
COMファイルを作成するには、コンパイラなどでEXEファイルとして作成し、EXE2BIN(MS-DOS外部コマンド)やEXE2COM(フリーソフト)のようなプログラムで変換することができる。アブソリュートアセンブラで直接作成することもできる。
固有名詞の分類
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