ADLの規定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/25 05:25 UTC 版)
ADL(Activities of Daily Life)は、日々の生活に必要な基本的な生活行為とされているが、具体的には、どういった行為であるのかが実際のところ正確にとらえられているとは言えない状況であった。その理由は「どれくらい介護や介助を必要とするか」という視点が基本であったために、介護介助が「必要・不要」という判断基準で構成された測定項目がほとんどだったからだ。そこで、対象高齢者自身がどう動けるのか、という視点からADLを再度とらえる指標として30項目を選定した。さらに、記憶の調査項目においても、10歳~15歳の発達期間に誰でも必ず記憶している内容を抽出し、最後に「ニュース」を尋ねること、認知症のレベルをチェックした。 記憶とADLとの関係については、現場感覚としては理解されていたものの、数値的な表現が困難なこともあって理解することが難しい面もあった。そして、ADLに関しても加齢による認知症が誘引となった低下なのか、神経痛や事故といったことによる低下なのか、といった判断概念も今までの介護現場では気にすることもなかった。目の前の高齢者がどのような介護を必要とするか、という面だけで介護そのものが進展してきたのかもしれない。しかし、記憶とADLの関連が明らかになり、記憶の消失を抑制することが直接的にADLの低下を抑制することが明確になったことで、今後の介護は大きく変化することが期待される。 つまり、高齢者とのおしゃべりやコミュニケーションがより重視された介護へと進化するように感じられる。現在でもなお、お客様である高齢者とおしゃべりすることは、「サボり」だと規定し、介護実施中のおしゃべりを禁止している介護提供事業所が多く見受けられる。こうした「無言介護」は、ADLの低下を助長するばかりでなく、認知症症状そのものを進行させかねない。介護の基本理念が「現状機能の維持」であるならば、それを自らが否定することになるとも言えるだろう。
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