A2への改修
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 05:17 UTC 版)
SA80A1はそれまでに幾多の改良を加えられたにもかかわらずトラブルはなくならず、これらの致命的なトラブルを解決するため、軍用銃の開発・製造で実績のあるヘッケラー&コッホ (H&K) 社が改修作業を請け負うことが決定した。H&Kがイギリスの航空機メーカーであるブリティッシュ・エアロスペース (BAe) の一部門、ロイヤル・オードナンスに買収されていた時期である。 H&Kが改修を施した200挺のテストは成功裏に進み、9,200万ポンド(約150億円)を投じて20万挺のSA80A1を改修する契約が結ばれた。これは、1挺あたり実に7万5千円にもなり、ドイツ連邦軍などで採用されているH&KのG36ライフルの新品1挺とほぼ同じ額になる。 主な改良箇所は以下の通り。 ロッキングシステムのヘッドにエキストラクターネイルを追加。 先端へ向かって段階的に細くなっていたファイアリングピンを、折損しにくい形状に変更。 コッキングハンドルの形状を変更し、排出された空薬莢の撥ね戻りを解消。 ガスシステム周りをよりクリアランスの大きなものに。 確実に撃発できるように、ハンマーの質量を増加。 トリガーシューの後面形状を平面から三角に変更し、雪や泥といった異物が挟まれることを防止。 光学照準器を取り付けるレールの構造をより強固なものに。 H&K HK416と同じような信頼性の高いスチール製マガジンの採用。またボトムプレートの脱落や、マガジンフォロアーの固着を起こしにくい構造に変更。 また、作動不良の解消とは関係ないが、ライフルグレネードからの転換としてL123A2 グレネードランチャーを使用できるようになった。装着の際、SA80のハンドガードは取り外され、グレネードランチャーと一体のものに置き換えられる。 その他にも様々な改良を加えた結果、作動不良の回数は平均25,200発に1回と、劇的に低下した。 こうした改修の結果SA80A2ができた。これをイギリス軍はL85A2として採用している。 2009年頃からは以下の小改良が行われている。 ハンドガードをダニエルディフェンス社製RISへ変更 光学照準器をTrijicon ACOGまたはElcan SpecterOS4x へ変更 マグプル社製の軽量なEMAG弾倉の配備(2011年頃から) フラッシュサプレッサーをシュアファイア社製の先割れ型のものに交換
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