57年ぶりの英愛ダービー制覇
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 03:19 UTC 版)
「サンタクロース (競走馬)」の記事における「57年ぶりの英愛ダービー制覇」の解説
3歳(1964年)になると、アイルランドの2000ギニーを3馬身差で勝ち、単勝2.9倍の本命でイギリスダービーに出走した。サンタクロースには「女王陛下ですら一目見ることもできないような」厳重な警察隊の警備がつき、出走前の入厩先も伏せられた。過去のダービーでは、出走前に観客が本命馬の尻尾を引っ張ったり毛を抜いたりしたせいで、力を出せずに敗退したり(フェアウェイ)、不審者によって馬房に細工がされて馬が怪我をするように仕掛けが施されていたり(ワイルドデイレル)、餌に薬物が混入されて出走取消しを余儀なくされた例も少なくないからである。 無事に出走にこぎつけたダービーで、50歳になるオーストラリア出身のアーサー・"スコービー"・ブリースリーが騎乗した。サンタクロースはずっと最後尾を追走し、ようやくタッテナムコーナーから一番外側を回って進出した。残り200メートルでは、ボールドリックとインディアナの争いだったが、最後にサンタクロースがインディアナを捉えて1馬身差をつけ、期待通りに2分41秒98のタイムで優勝した。79歳になる馬主のジョン・イスメイ(John Ismay)は、ダービーの後エリザベス女王の招待を受け、勝利の祝福を受けた。大本命が勝ったことで、馬券を売ったブックメイカーたちは17年ぶりの酷い損失を被ったと伝えられている。 そのあとサンタクロースはアイルランドに戻り、アイルランドダービーに出た。アイルランドダービーは数年前まで、地方の田舎レースのような扱いだったが、1962年にテコ入れがあって賞金が大幅に増え、イギリスダービーを勝った馬にとっても出走するに値する競走になったばかりだった。1.5倍の圧倒的な支持を受けたサンタクロースは、スタートしてしばらくは3番手を走っていたが、残り400メートルほどから先頭に立つと、そのまま人気に応えて優勝し、57年ぶりの、イギリスとアイルランドのダービーを制した史上2頭目の競走馬となった。2着には後に日本へ種牡馬として輸入されるライオンハーテッドが入っている。
※この「57年ぶりの英愛ダービー制覇」の解説は、「サンタクロース (競走馬)」の解説の一部です。
「57年ぶりの英愛ダービー制覇」を含む「サンタクロース (競走馬)」の記事については、「サンタクロース (競走馬)」の概要を参照ください。
- 57年ぶりの英愛ダービー制覇のページへのリンク