1957年以前の元素合成理論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/28 10:12 UTC 版)
「B2FH論文」の記事における「1957年以前の元素合成理論」の解説
B2FH論文が発表される以前、ジョージ・ガモフは、ほとんど全ての元素あるいはその原子核がビッグバンで合成されたという宇宙論を提唱していた。このガモフの理論は、時間が経過しても元素構成比にほとんど変化が生じないことを示唆しているという点で、21世紀現在のビッグバン元素合成とは異なっていた。ハンス・ベーテとチャールズ・クリッチフィールド(英語版)は、1938年に陽子-陽子連鎖 (proton-proton chain) を導き出し、核融合によって水素をヘリウムに変換させることで恒星の動力源に必要なエネルギーが得られることを示した。また、1938年にカール・フリードリヒ・フォン・ヴァイツゼッカー、1939年にベーテが、それぞれ独立してCNOサイクルを導き出した。このように、水素とヘリウムの存在量が完全に変化しない訳ではないということはガモフたちも承知していた。しかし、恒星内部での核融合で生じるヘリウムの量は少なく、ビッグバン以降のヘリウムの存在量をわずかに増加させるに過ぎないと考えられており、炭素より上の元素合成は依然謎のままであった。 フレッド・ホイルは重元素の起源について、1946年の論文を皮切りに、1954年の論文ではその内容を拡張して、「リチウムより重い元素は全て恒星内で合成される」とする仮説を提唱した。いずれの理論でも、水素、ヘリウムと極少量のリチウムは恒星内部では生成されないとしており、これは現在「ビッグバン元素合成」として広く受け入れられている。
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