いち‐しきかく【一色覚】
1色覚
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/10 17:20 UTC 版)
錐体細胞をまったく持たない場合、およびS・M・Lのいずれかひとつしか錐体細胞を持たない場合に発生する。発症は数万人に1人と少ない。 まったく錐体細胞を持たない場合は、本来暗い光を感知する桿体細胞にのみ視覚を頼る形になる。暗いところでは正常色覚者でも色がわからなくなるほか、細かい形状がわからなくなる(視力が低下する)が、錐体細胞がまったくない場合は、明るい環境でもこの状態になる。つまり、色がまったく識別できないほか、弱視などの症状がある。視力は0.1程度。近視などと違い網膜の問題であるため、眼鏡では色覚も視力も改善しない。また、明るすぎる環境では桿体細胞が正常に働かず、さらに視力が低下する。これに対してはサングラスや遮光眼鏡で対処する。 S錐体のみを持つ場合、もともとS錐体自体の数がM錐体・L錐体に比して非常に少ない(約10分の1)ため、まったく錐体を持たない場合とあまり変わらない症状になる。視力は0.3程度。 M錐体またはL錐体のみを持つ場合は色の識別はできなくとも視力はいいが、きわめてまれである。 ミクロネシア連邦のピンゲラップ島は、12人に1人を1色覚者(錐体を持たない)が占める島である。これは、1775年頃に島を襲ったレンキエキ台風によって人口が20数人にまで減ってしまい、その生き残りに1色覚者がいたため、孤立した環境で近親婚を繰り返した結果、1色覚者の割合が高くなったものである。1色覚者は暗い場所で微妙な明かりを見分けることができるとされている。このため、ピンゲラップ島において1色覚者の人々の多くは、夜釣りの漁師として働いている。
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