鳥越発電所分の送電
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/17 15:29 UTC 版)
鳥越発電所を建設するにあたり、東邦電力への追加供給が見込めないため、白山水力では自社で供給先を開拓すべく福井市・金沢市・富山県伏木町などの地域の電力供給区域編入を出願した。織物工業用の需要が多く、余剰電力の供給希望があったことがこの地域への侵入を図った動機という。しかしその後、福井県内の地盤には侵入しないという条件で京都電灯福井支社が鳥越発電所の電力を一部引き取ることに決まった。 京都電灯への電力供給地点は花房開閉所(福井県大野郡阪谷村=現・大野市)で、吉野谷・鳥越両発電所と西勝原発電所を結ぶ送電線の西勝原寄りに位置する。京都電灯では受電用送電線として1929年(昭和4年)8月に花房開閉所と福井変電所(京都方面とを結ぶ「京福送電線」の一端)を繋ぐ77キロボルト線「大野送電線」を完成させている。京都電灯への供給契約は、鳥越発電所分のうち定時電力6500キロワット(開始当初は3500キロワット)を供給するというもので、料金は1キロワットあたり年間120円である。 鳥越発電所分の余剰電力(1年を通じて発生するわけではない不定時電力に相当)は5500キロワットあり、定時電力とあわせて京都電灯に引き取らせていたが、1930年(昭和5年)7月より供給先をカーバイドメーカーの大北工業(下記#関連会社大北工業参照)へ転じ供給を開始した。大北工業に通じる送電線は「金沢線」といい、吉野谷発電所を起点とする亘長28.2キロメートルの77キロボルト送電線である。供給料金は年間で計18万円(1キロワットあたり32.7円)という安値に定められた。
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