高次元力学系のリアプノフ指数とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > 高次元力学系のリアプノフ指数の意味・解説 

高次元力学系のリアプノフ指数

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/07 10:10 UTC 版)

リアプノフ指数」の記事における「高次元力学系のリアプノフ指数」の解説

力学系が k 次元相空間を持つ高次元力学系場合各方向に別々のリアプノフ指数存在する。すなわち高次元力学系であれば軌道のずれは、ある方向には離れていくが、別の方向では縮まっていく状況ありえる。よって k 個のリアプノフ指数を得ることができる。このような k 個のリアプノフ指数の組を、リアプノフスペクトラム(英: Lyapunov spectrum)と呼ぶ。 λ i = { λ 1 , λ 2 , ⋯ , λ k } {\displaystyle \lambda _{i}=\{\lambda _{1},\lambda _{2},\cdots ,\lambda _{k}\}} リアプノフスペクトラムでは一般に λ1 から値が大きい順に並べる。最大値である λ1 を、特に最大リアプノフ指数(英: maximal Lyapunov exponent, maximum Lyapunov exponent)と呼ぶ。記事冒頭述べたように、相空間上の2つ軌道上時刻 t における点の間の距離、すなわちずれを δ(t) とする。リアプノフスペクトラム λi は以下のように定義される。 λ i = lim t → ∞ 1 t ln ⁡ α i ( i = 1 , 2 , ⋯ , k ) {\displaystyle \lambda _{i}=\lim _{t\to \infty }{\frac {1}{t}}\ln \alpha _{i}\quad (i=1,2,\cdots ,k)} 一般に λi は初期値 x(0) に依存する。しかし1次元離散力学系場合同様に、ほとんどすべての初期位置 x0 から同一の λi を得ることができる。λi の定義式にある αi は、次式で定義される k × k 正定値行列 Λ の固有値である。 Λ = ( M T M ) 1 2 t {\displaystyle {\boldsymbol {\Lambda }}=({\boldsymbol {M}}^{T}{\boldsymbol {M}})^{\frac {1}{2t}}} さらに M は、δ(t) の解を次の形式表したときの δ(0) に対す乗数として得られる。 δ ( t ) = M δ ( 0 ) {\displaystyle {\boldsymbol {\delta }}(t)={\boldsymbol {M}}{\boldsymbol {\delta }}(0)} 系が連続力学系場合、 k 個の状態変数 {x1, x2, ..., xk}、常微分方程式 {f1, f2, ..., fk} から成る常微分方程式d x d t = f ( t , x ) {\displaystyle {\frac {d{\boldsymbol {x}}}{dt}}={\boldsymbol {f}}(t,{\boldsymbol {x}})} が与えられる。f が線形近似可能な場合、f のヤコビ行列用いて、 d δ ( t ) d t = J δ ( t ) {\displaystyle {\frac {d{\boldsymbol {\delta }}(t)}{dt}}={\boldsymbol {J}}{\boldsymbol {\delta }}(t)} と表すことができる。また、系が離散力学系場合、 k 個の状態変数、常差分方程式から成る差分方程式系 x(t + 1) = f(x(t))が与えられる同じく差分方程式系 f が線形近似可能な場合、f のヤコビ行列用いて、 δ ( t + 1 ) = J δ ( t ) {\displaystyle {\boldsymbol {\delta }}(t+1)={\boldsymbol {J}}{\boldsymbol {\delta }}(t)} と表すことができる。ここに、J は以下に示すようなヤコビ行列による線形写像で、軌道 x(t) に依存し、すなわち初期値 x(0)、時間 t に依存して変化する。 J = ( ∂ f 1 ∂ x 1 ⋯ ∂ f 1 ∂ x k ⋮ ⋱ ⋮ ∂ f k ∂ x 1 ⋯ ∂ f kx k ) {\displaystyle {\boldsymbol {J}}={\begin{pmatrix}{\cfrac {\partial f_{1}}{\partial x_{1}}}&\cdots &{\cfrac {\partial f_{1}}{\partial x_{k}}}\\\vdots &\ddots &\vdots \\{\cfrac {\partial f_{k}}{\partial x_{1}}}&\cdots &{\cfrac {\partial f_{k}}{\partial x_{k}}}\end{pmatrix}}} 常微分方程式系の場合は、 d δ d t = J ( t ) δ {\displaystyle {\frac {d{\boldsymbol {\delta }}}{dt}}={\boldsymbol {J}}(t){\boldsymbol {\delta }}} を解いて δ ( t ) = M δ ( 0 ) {\displaystyle {\boldsymbol {\delta }}(t)={\boldsymbol {M}}{\boldsymbol {\delta }}(0)} を得ることで、上記の定義で出てきた正方行列 M を得ることができる。差分方程式系の場合は、J を t 回繰り返し適用することで次のような δ(t) と δ(0) の関係式書き表すことできるので、M は Jn の 0 から t − 1 までの総乗として得ることができる。 δ ( t ) = J ( t − 1 ) J ( t − 2 ) ⋯ J ( 0 ) δ ( 0 ) = M δ ( 0 ) {\displaystyle {\boldsymbol {\delta }}(t)={\boldsymbol {J}}(t-1){\boldsymbol {J}}(t-2)\cdots {\boldsymbol {J}}(0){\boldsymbol {\delta }}(0)={\boldsymbol {M}}{\boldsymbol {\delta }}(0)}

※この「高次元力学系のリアプノフ指数」の解説は、「リアプノフ指数」の解説の一部です。
「高次元力学系のリアプノフ指数」を含む「リアプノフ指数」の記事については、「リアプノフ指数」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「高次元力学系のリアプノフ指数」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「高次元力学系のリアプノフ指数」の関連用語

高次元力学系のリアプノフ指数のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



高次元力学系のリアプノフ指数のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのリアプノフ指数 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS