高次元マーラー測度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/19 03:30 UTC 版)
多変数の多項式 p ( x 1 , … , x n ) ∈ C [ x 1 , … , x n ] {\displaystyle p(x_{1},\ldots ,x_{n})\in \mathbb {C} [x_{1},\ldots ,x_{n}]} のマーラー測度 M ( p ) {\displaystyle M(p)} は、次の公式により同じように定義される。 M ( p ) = exp ( 1 ( 2 π ) n ∫ 0 2 π ∫ 0 2 π ⋯ ∫ 0 2 π log ( | p ( e i θ 1 , e i θ 2 , … , e i θ n ) | ) d θ 1 d θ 2 ⋯ d θ n ) . {\displaystyle M(p)=\exp \left({\frac {1}{(2\pi )^{n}}}\int _{0}^{2\pi }\int _{0}^{2\pi }\cdots \int _{0}^{2\pi }\log {\Bigl (}{\bigl |}p(e^{i\theta _{1}},e^{i\theta _{2}},\ldots ,e^{i\theta _{n}}){\bigr |}{\Bigr )}\,d\theta _{1}\,d\theta _{2}\cdots d\theta _{n}\right).} 多変数のマーラー測度は、一変数のマーラー測度の上記 3つの性質を持っている。( m ( P ) = log M ( P ) {\displaystyle m(P)=\log {M(P)}} もマーラー測度と呼ぶ。) ある場合には、多変数のマーラー測度はゼータ函数やL-函数の特殊値と関係を持つことが示されている。たとえば、1981年、クリス・スミス(Chris Smyth)は、次の式を証明した。 m ( 1 + x + y ) = 3 3 4 π L ( χ − 3 , 2 ) {\displaystyle m(1+x+y)={\frac {3{\sqrt {3}}}{4\pi }}L(\chi _{-3},2)} ここに、 L ( χ − 3 , s ) {\displaystyle L(\chi _{-3},s)} はディリクレのL-函数であり、また m ( 1 + x + y + z ) = 7 2 π 2 ζ ( 3 ) {\displaystyle m(1+x+y+z)={\frac {7}{2\pi ^{2}}}\zeta (3)} , ここに、 ζ {\displaystyle \zeta } はリーマンゼータ函数である。この公式では、2変数、および 3変数の多項式のマーラー測度が、それぞれ、二重対数函数(英語版)(dilogarithm)や三重対数函数 (trilogarithm) と関連付けられる。ここで、これらの式を他の導手へ一般化することができるかと問うことができる。つまり、各々の負の判別式 − f {\displaystyle -f} に対し、多項式 P f ( x , y ) ∈ Z [ x , y ] {\displaystyle P_{f}(x,y)\in \mathbb {Z} [x,y]} と 0 でない r f ∈ Q {\displaystyle r_{f}\in \mathbb {Q} } が存在し、 m ( P f ) = r f d f , {\displaystyle m(P_{f})=r_{f}d_{f}\ ,} とすることができるであろうか。ここに d f = f f 4 π L ( χ − f , 2 ) {\displaystyle d_{f}={\frac {f{\sqrt {f}}}{4\pi }}L(\chi _{-f},2)} とする。さらに一般的に、ある場合には、複素埋め込みをペアで持つ二次体 F {\displaystyle F} が与えられたとき、マーラー測度は、一般化された F {\displaystyle F} の判別式、ゼータ函数 ζ F ( z ) {\displaystyle \zeta _{F}(z)} の特殊値、有理数の積として表すことができるであろうか?
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