高所得者ほど恩恵をより大きく受ける
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 23:46 UTC 版)
「軽減税率」の記事における「高所得者ほど恩恵をより大きく受ける」の解説
軽減税率は「低所得者の負担の軽減」という名目で政策導入が検討されているが、実際には「高所得者ほど軽減税率の恩恵をより大きく受ける」ことになり、低所得者対策として有効でないことなどから、多くの経済学者は軽減税率の導入に反対している。 これは「すべての国民に一律で軽減措置を行うことで、高所得者も軽減措置を受ける」ためで、食品などの生活必需品とされる品物においても、高所得者は低所得者に比べ多くの金額を支出していることから、より多くのVAT軽減措置を受け、より大きく恩恵を受けることになるためだ。また軽減税率導入の結果として本来国が得る税収を減らすことにもなる。 OECDは食料やエネルギー製品などの品目へ軽減税率を適用することは、これによって最も恩恵を得るのは高所得家計であるため「低所得家計への支援策として劣った手段である」と勧告し、さらに欠点として、不正機会の発生や、行政コスト・法順守コストの高さを挙げている。ヨーロッパ連合は消費税を加盟国の共通税制と定めており、加盟国に導入が義務付けられている。加盟国に軽減税率については規定がないが、消費税の標準税率を15%以上に義務付けている。加盟国ではデンマークのみが軽減税率の導入をしていない。代替措置として、広範なベーシック・インカムを設けている。軽減税率を導入しない国は軽減税率で税収を減らすよりも同じ税率で効率的に集めて財源確保する方が効率的とから一律税率にしている。さらに、一度軽減税率を導入して例外をつくるとme tooシンドロームと呼ばれる軽減税率適用を次から次に求める事態が起きるため、それを防ぐ効果もある。 また、財務省が消費税率10%への引き上げ時に導入する軽減税率制度の家計への効果を試算したところ、負担軽減額は収入が多い世帯ほど大きくなり、民間試算と同様の傾向が表れた。
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