高エネルギーニュートリノの発生源
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/04 06:37 UTC 版)
「アイスキューブ・ニュートリノ観測所」の記事における「高エネルギーニュートリノの発生源」の解説
ニュートリノの発生源を調べることは、高エネルギーの粒子の起源の謎を解明することに繋がることが期待される。 高エネルギーの宇宙線は銀河系に束縛されることがない(粒子の速度が銀河系の脱出速度よりも大きい)ので、銀河系外からやってきたものであると考えられている。そのような高エネルギーの宇宙線を生成するような激しい天体現象であれば、高エネルギーのニュートリノも同時に生成されるであろう。そして、ニュートリノは地球に届くまでほとんど他の物質と相互作用せずに直接飛んでくる。 アイスキューブはこれらの高エネルギー(100GeVから数PeVまで)のニュートリノを検出できる。その天体現象が激しければ激しいほど、アイスキューブで検出できる見込みが高い。その意味では、アイスキューブはスーパーカミオカンデよりもピエール・オージェ観測所(世界最大の宇宙線観測所)に近い。アイスキューブは北半球方向からやってくるニュートリノを高感度で観測できる。検出自体はどの方向からのものでも可能であるが、南半球からのニュートリノは宇宙線由来のミュー粒子によるバックグラウンドによってかき消されてしまう。アイスキューブの探索はまず北半球に的を絞り、南半球への拡大は臨時の作業として行われる。 アイスキューブで検出されるニュートリノは望遠鏡で捕らえられる光に比べたらほんのわずかなものではあるが、高い解像度を持っている。数年後には宇宙マイクロ波背景放射やガンマ線望遠鏡にも似た北半球方向の宇宙の地図を作成するかも知れない。また、KM3NeT(地中海の水深2500-4500mに設置される予定のニュートリノ観測所)が南半球の地図を作成しているかも知れない。なお、アイスキューブでは2006年1月29日に最初のニュートリノを観測している。
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