駅路の使われ方
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/08 07:39 UTC 版)
公式な使われ方は、第1に有事の際の迅速な情報伝達、第2に軍隊の移動、第3に公用役人の移動、第4に租庸調による貢納物の輸送である。それらの中のひとつに、各国の国司の赴任地への赴任と帰任、駅使の朝廷への報告の旅があって、これらは、駅制により順路として定められた駅路を通らなければならないという取り決めがなされていた。ただし、国司が公務ではない旅をするときには、あらかじめ定められた駅路の道筋では行かず、別ルートで通る場合もあった。朝廷や国府からの命令伝達や報告を行うための使者である駅使は、駅鈴を授けられて馬に乗り、途中の駅家(駅)で馬を変えて乗り継ぎながら目的地へと向かった。これを早馬といい、早馬が通る駅路には約30里ごとに駅が設けられていて、駅制の規定では急使は1日に10駅以上の移動(約160 km)をすることとなっていたが、実際の移動はもう少し遅かったのではないかとの見方もされている。駅馬は、駅鈴を携行した駅使に利用が限られたが、時代が経過すると、規定に則らずに駅馬を使う者も現れた。 ローマ街道に代表される世界の古代国家が造った道路の目的とは、使われ方に共通する面もあったが、世界の古代国家では軍隊の輸送目的を最優先事項としながらも、民間人の旅行にも使われたのに対し、日本の駅路では情報伝達を主眼に置いており、民間人の旅行で使われることはなかったものと考えられている。
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