餌づけ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/17 07:56 UTC 版)
日本各地にある野猿公園は、観光客による餌付けの餌の販売で収益を確保するが、地獄谷野猿公苑ではサルに襲われないようにする安全確保の観点から行わない。公苑では、職員“のみ”により餌がまかれ、その餌付け時刻はサルたちの状態と環境により決まるため不定期である。その理由は、餌付けはサルたちを安定して観察できる状態に維持する手段でしかないためであり、また餌を食べるサルを観察しても得るものがなく、見学者にはふだんのサルたちの姿をじっくり観察してほしいという趣旨からで、公苑では「餌付けは観察のための手段であって、餌付けショーではない」と考え、給餌の時刻は公表していない。また、観光客による餌付けも厳禁し、餌欲しさの、人を怖がらないサルによる接触事故を未然に防ぎ、長年にわたって「間近で猿の写真を撮ることができること」(日本交通公社)を維持している。 与える餌は、籾殻付きの大麦、小粒の生大豆、リンゴなどを条件によって使い分けている。高すぎる栄養価の餌を多く与えると肥満となり自然の状態を崩してしまう恐れがあると考え、職員はエサにも気を使う。 1990年代後半、野生動物の研究者の和田一雄が、動物の権利や猿害の防止、自然の撹乱、来園者の減少の問題の観点から餌付けの禁止を述べたが、大阪大学の山田一憲と中道正之により「野猿公園の運営により生じる利益は、その運営により生じる不利益よりも大きい」と反論されている。
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