飛節の異常
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/01 21:49 UTC 版)
飛節腫(英語: spavin) 以下に述べる飛節の骨瘤、腫瘍の総称。飛節炎とも。 飛節内腫(英語: bone spavin) 慢性奇形性飛関節炎。飛節の内側面に生じる骨瘤で、主に中心足根骨と第3足根骨に生じ、周囲の足根骨にも波及する場合がある。ウマに多く見られる症状で、原因としては過度な運動による飛節への過重負担、飛節の構造不良、肢勢不良などがある。また、内蹄腫の過高・過低および蹄負面の装蹄・削蹄の失宜に起因することもある。 症状は飛節内側に限局した腫脹、および飛節内腫跛行という特有の跛行を示す。症状の特定にはこの跛行の特徴を応用した飛節内腫試験が用いられる。 競馬においてスパービン(スパーピン)の呼び名で知られるのはこの飛節内腫である。まだ骨の形成が完了していない若い馬に多く、過度な調教で発症しやすい。古馬でも飛節の曲がり具合によって、また飛節を捻って走る馬で発症することがある。 血管性飛節内腫(英語: blood spavin) 足根部分の静脈が拡張して形成される、血管性の飛節内腫。背中線表面に柔らかい腫脹が生じる。 飛節外腫(英語: outside spavin) 飛節の外側面に生じる限局性の腫瘤のこと。おもに立方骨(第4足根骨)を中心とした慢性骨膜炎や骨瘤が原因で発生し、また飛節内腫や外傷性の骨膜炎から併発することもある。飛節外腫のみでは跛行を呈しないが、内腫に併発した場合は飛節内腫跛行を呈する。飛節内腫跛行を伴わないものは特に治療の必要はない。 飛節軟腫(英語: bog spavin) 飛節内腫などの各種飛節炎により、飛節の関節包に水腫を生じたもの。先天性のものや、装蹄・削蹄の失宜が原因となったりもするが、多くは強い調教などによる飛節への過重負荷に起因する。飛節の前内側部から上方外側部にかけて腫瘤ができ波動性を感じるが、熱感や疼痛、跛行などは感じられない。運動機能に障害がなければ、特に治療は行われない。 飛節後腫(英語: curb) 飛節の後部、踵骨下部に生じる腫瘍・骨瘤のこと。飛節後面に弓状の膨張ができ、熱感・疼痛を伴い、軽度の跛行を呈する。 骨瘤を生じるものは骨性飛節後腫、屈腱・屈腱腱鞘の炎症に由来する腫脹は腱性飛節後腫と呼ばれ、また先天性異常により骨瘤を生じるものは先天性飛節後腫と呼ばれる。 発生原因は内腫と同じく過度な運動や飛節の構造不良からくるものが多く、また、削蹄・装蹄の不良、転倒などの打撲に由来することもある。 飛端腫(英語: capped hock) 踵部嚢腫。おもに挫傷によって踵骨の隆起部に発生する腫瘤。ウマに発生しやすく、まれにウシやイヌにも発生する。
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