音節の長短
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/02 00:31 UTC 版)
古代ギリシア語やラテン語の古典詩では、音節を長い(古希: μακρός)音節と短い(古希: βραχύς)音節にわけ、その組み合わせによって韻律を構成する。 長母音または二重母音を持つ音節は長い。 閉音節(子音に終わる音節)は長い。 それ以外の、短母音で終わる開音節は短い。 また、切れ目(カエスーラ)がない場合、単語の境界は無視される。すなわち単一の子音で終わる語に母音ではじまる語が後続した場合、前の語の子音が後ろの語の母音につなげて発音されるため、前の語の最終音節は開音節となる。 たとえばウェルギリウス『アエネーイス』は長短短六歩格で書かれているが、その冒頭 Arma vi- | rumque ca- | nō, Trō- | iae quī | prīmus ab | ōrīs において、第1脚の「Ar」や第2脚の「rum」は子音で終わっているために長いのに対して、第5脚の「mus」や「ab」は母音が後続するので短い。そのためこの行は第1・2・5脚が長短短(ダクテュロス)、3・4・6脚が長長(スポンデイオス)から構成されている。 音節の長短が母音の長短とは一致しないことに注意。このように音節の長短によって韻律を構成するのは、インド古典詩の韻律など、他の言語の詩とも共通する。
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