非結合的演算
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/13 01:24 UTC 版)
集合 S 上の二項演算 ∗ が結合法則を満足しない—記号で書けば ( x ∗ y ) ∗ z ≠ x ∗ ( y ∗ z ) ( ∃ x , y , z ∈ S ) {\displaystyle (x*y)*z\neq x*(y*z)\qquad (\exists x,y,z\in S)} —となるとき、非結合的 (non-associative) である、必ずしも結合的でないなどという。 そのような演算では、計算順序は結果に影響する。非結合演算の例として 減法: ( 5 − 3 ) − 2 ≠ 5 − ( 3 − 2 ) {\textstyle (5-3)-2\neq 5-(3-2)} 除法: ( 4 / 2 ) / 2 ≠ 4 / ( 2 / 2 ) {\textstyle (4/2)/2\neq 4/(2/2)} 冪演算: 2 ( 1 2 ) ≠ ( 2 1 ) 2 {\textstyle 2^{(1^{2})}\neq (2^{1})^{2}} などがある。あるいは無限和もまた一般には非結合的である。例えば: ( 1 + − 1 ) + ( 1 + − 1 ) + ( 1 + − 1 ) + ( 1 + − 1 ) + ( 1 + − 1 ) + ( 1 + − 1 ) + ⋯ = 0 ≠ 1 + ( − 1 + 1 ) + ( − 1 + 1 ) + ( − 1 + 1 ) + ( − 1 + 1 ) + ( − 1 + 1 ) + ( − 1 + 1 ) + ⋯ = 1. {\displaystyle {\begin{aligned}(1+-1)+(1+-1)+(1+-1)+(1+-1)+(1+-1)+(1+-1)+\dotsb =0\\\neq 1+(-1+1)+(-1+1)+(-1+1)+(-1+1)+(-1+1)+(-1+1)+\dotsb =1.\end{aligned}}} 非結合的構造の研究は、古典代数学の主流からはいくらか異なった理由から生じてくるものである。非結合多元環の領域にあってすでに一大分野へと発展したリー代数の理論では、結合法則の代わりにヤコビ恒等式が採用される。リー代数は無限小変換(英語版)の本質的な特質を抽象化するものであり、数学に遍在するものとなった。 既に深く調べられているほかの特定種類の非結合的構造もあり、それらは何らかの特定の応用から、あるいは組合せ論のような分野から生じたものである。その他の例は、Quasigroup(英語版)、準体(英語版)、非結合的環、非結合的多元環、可換(非結合的)マグマ(英語版)など。
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