うんきゅうしちせん 【雲笈七籤】
雲笈七籤
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/15 15:58 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動『雲笈七籤』(うんきゅうしちせん)は、中国・北宋の道教類書である。成立は真宗の天禧年間(1017年 - 1021年)で、撰者は張君房。当初は120巻であったが、現行本は122巻。
『正統道蔵』の太玄部に収録される。道教では書套のことを「雲笈」と呼んでおり、道書の分類に「三洞四輔」の七部があるので、本書の題名を「雲笈七籤」として、三洞四輔の七部の精華を総収した意を表している。本書の内容は道教全般にわたっており、「小道蔵」という呼び方もされている。また、北宋以前の道教の珍しい資料を収集しており、読者が宋以前の道教の概況を把握するのに好材料を提供している。
成立
真宗は、1010年に宰相の王欽若に命令して、道教経典の校訂と編集に着手させた。その事業は、1016年にいったん完了する。しかし、その内容や構成等に不十分な点が見つかったので、改めて、張君房に命じて、江南地方の余杭郡(現在の浙江省杭州市)で編纂し直させた。1019年に整理は完了し、真宗に上進されて『大宋天宮宝蔵』の題名を賜った。
本書は、仁宗朝になってから、『大宋天宮宝蔵』の概要を抄出して仁宗に献上されたものである。『大宋天宮宝蔵』が散逸した現在では、宋代以前の道教典籍について窺い知ることのできる貴重な文献となっている。
参考文献
- 中嶋隆蔵著『雲笈七籤の基礎的研究』(研文出版、2004年)ISBN 4876362386
雲笈七籤
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熱心な道教信奉者であった真宗の命で、張君房が中心となって「道蔵」(道教の一切経)の編纂が行われ、1019年に『大宋天宮宝蔵』4565巻が完成した。張君房がこれのダイジェスト版として作成したのが『雲笈七籤』で、ここには道教の教理・歴史、服気・内丹・外丹といった道術、神仙の伝記・詩歌が体系的に整理されている。『大宋天宮宝蔵』は散佚したが、『雲笈七籤』は現代に伝えられ、北宋以前の道教を知る上で重要な書となっている。 なお、『大宋天宮宝蔵』には、富豪家の林世長が賄賂を贈ったころによって『明使摩尼教』といったマニ教の経典が収められている。これには、もともとマニ教が道教との融合を図り、マニ経典に道教的な色彩を加えていたという背景があった。これ以後この傾向は加速し、12世紀前半には中国のマニ寺はほとんど道観に変貌していた。
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