集団接種の有効性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/14 16:14 UTC 版)
「インフルエンザワクチン」の記事における「集団接種の有効性」の解説
より長期間の観察での評価として、日本の集団接種を対象として行われた研究がある。日本では1987年まで小中学生を対象としたインフルエンザワクチンの集団接種が行われていた。この集団接種は、約300万人が感染し約8000人(推計)が死亡した1957年のインフルエンザ(アジアかぜ)大流行がその引き金になったもので、1962年から小児への接種推奨がなされ、1977年に予防接種法で小中学生の接種が義務化された。 しかし、接種後に高熱を出して後遺症が残ったと日本国政府を訴えて国側が敗訴するケースも続出したため、厚生省が方針転換し、1987年に保護者の同意を得た希望者に接種する方式に変更され、 1994年には任意接種となった。またインフルエンザワクチンの効果に対する不信感も世論に広まり、100%近かった小中学生の接種率は1990年代には数%に低下した。 その結果、インフルエンザ脳症によって死亡する児童が増加しただけではなく、インフルエンザに対する集団免疫の低下により、高齢者施設における入所者のインフルエンザによる死亡例が相次ぐこととなった。後に、当時の日本での小中学生に対するインフルエンザワクチンの集団接種は、高齢者を含めて年間約3万7000-4万9000人の人命を救っていたことが指摘された。この研究によって「集団免疫」(間接予防効果)の重要性が認識されるようになり、各国のワクチン政策に大きな影響を与えた。
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