阿呆の使われる状況
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/04 07:51 UTC 版)
「阿呆」は「馬鹿」とともによく使われる言葉だが、まったく同じ意味ではない。例えば、「学者馬鹿」というような、一本気さ、愚直さを表す用法は「阿呆」にはない、強調語として使う場合の「馬鹿」は「馬鹿でかい」「馬鹿にでかい」のように副詞的に使われるが、「阿呆」の場合は「阿呆ほどでかい」のように接続詞を伴う、などの用法の違いがある。 「阿呆」と「馬鹿」では、受け取られるニュアンスに地域差がある。関東などの「馬鹿」を常用する地域の人に「阿呆」と言うと、「馬鹿」よりも侮蔑的であると受け取られる場合がある。逆に関西など「阿呆」を常用する地域の人に「馬鹿」と言うと、「阿呆」よりも見下されたと受け取られる場合がある。 「阿呆」を用いた複合語として「どあほう」や「あほたれ」、「あほんだら」がある。「あほんだら」の語源については「阿呆太郎」であるとの説もあるが、罵倒語の「だら」、「たくら」が「阿呆」と結びついた可能性も考えられる。方言周圏論によれば、言葉や風習は発生した中心から時間差をおいて周囲に広がるため、中心から遠い地域により古いものが残るとされる。これを当てはめると、「だら」や「たくら」は「阿呆」以前に生まれた罵倒語であり、発生源である近畿地方では廃れたが周辺の北陸・中国地方に定着し、「阿呆」と結びついた用法のみが近畿地方に残った、と考えることもできる。 そのほか「阿呆」を用いた言葉として、『広辞苑』は以下のものを挙げている(『広辞苑』では「あほう」の漢字表記を「阿房」としている)。 阿房芋、阿房烏、阿房臭い、阿房口、阿房狂い、阿房死に、阿房力、阿房面、阿房鳥、阿房払い、阿房律儀 阿房が酢に酔ったよう、阿房桁叩く、阿房に付ける薬なし、阿房の足元づかい、阿房の三杯汁、阿房の鼻毛で蜻蛉をつなぐ、阿房の話ぐい、阿房の一つ覚え また前田勇の『上方語源辞典』は、「阿呆」を用いた言葉として以下のものを挙げている。 阿呆陀羅経、阿呆だら口、阿呆らしい、阿呆らしゅうもない 阿呆に法が無い、阿呆は風邪を引かぬ、阿呆は長生きをする
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