関東大震災の発生と終刊
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1923年(大正12年)9月1日、関東大震災が発生した。『種蒔く人』では10月1日に「帝都震災号外」を刊行し、震災後の朝鮮人に対する虐殺事件に対して強く抗議した。なお、「帝都震災号外」は被災地の東京ではなく、再び土崎にて印刷されている。その中で発行人兼編集人の今野は、朝鮮人の虐殺に対して流言飛語の出所はどこにあったか、誰が企図したものであるのかを指弾し、虐殺に対して中央の新聞が沈黙していることについて批判した。また、翌1924年(大正13年)1月には総同盟の資料協力を得て、金子が主となり亀戸事件などの社会主義者に対する弾圧の事実をまとめて『種蒔き雑記』を刊行した。この「種蒔き雑記」の中では九編の告発文が金子の名のもとに掲載され、亀戸警察署で起きた虐殺を伝えるルポタージュとなっている。この「種蒔き雑記」は小牧によってフランス語に抄訳され、1924年6月にパリを訪問した際、『リュマニテ』に伝えられた。しかし、資金難もあって雑誌の継続は困難で、「種蒔き雑記」を最後に『種蒔く人』はその歴史に幕を下ろすことになる。同年6月には『種蒔く人』の同人から小牧ら13人が参加して『文芸戦線』が創刊され、これが後裔となっていった。
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