開発についての言説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/08/31 13:27 UTC 版)
開発についての主流となっている言説は、植民地主義(コロニアリズム)とオリエンタリズムの知識の上に構築されている。それは、低開発諸国が近代化するためには、開発が進んだ西洋諸国が通ってきた道程を、同じように辿らなければならない、という理念に沿った近代化理論(modernization theory)に焦点を当てている。開発への道程は、自由貿易、市場開放、資本主義などによって特徴づけられる。開発についての主流となっている言説は、普遍的な政策を国家のレベルに適用する。 ヴィクトリア・ローソン(Victoria Lawson)は、主流派の開発言説は、サバルタンの再創出を行なっていると批判している。そうした言説は、ローカル(局地的)レベル、コミュニティ・レベルの尺度に目を向けないことによって、場所ごとに異なる地域的、階級的、民族的、ジェンダー等々の差異を考慮しないことによって、開発の主体を、従属的で知識を欠いた存在として扱い続けることによって、そして、諸主体の声や主張を開発政策や実践にとりあげないことによって、サバルタンを再び創り出しているのである。 サバルタンはその定義からして、自らの声を抑圧された集団であるが、彼らは主流派による開発行為への抗議を行動によって語り、自分たちによる開発構想を創り出すこともできる。サバルタンの集団は、権力を握ろうとする西洋に対抗し、それを打破する社会運動を創りあげる。そうした集団は地元の知識を用いて闘争し、対抗と、(主流派のそれとは異なる)オルタナティブな未来像のための空間を創りあげるのである。
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