開拓者として
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 21:35 UTC 版)
歴史学者の高倉新一郎は、北海道開拓において大きな役割を果たした女性の1人としてカネを挙げており、宗教家・作家の池田大作も、自然豊かな北海道を育んだ、忍耐強く慈愛に満ちた女性の1人として、カネの名を挙げている。 晩成社開拓団の第1期移民30人のうち、精神的にもっとも強かった人物はカネだったとの評価もある。晩成社の中では、渡辺勝や鈴木銃太郎が日本大百科全書や北海道大百科事典などの百科事典では取り上げられない一方で、カネは依田勉三とともに、『開拓功労者集録』などのような官製の出版物や、啓蒙書、児童書にも肩を並べて記載されている。作家の乃南アサも、晩成社の開拓を題材とした小説『チーム・オベリベリ』の執筆にあたり、依田勉三や鈴木銃太郎の活躍は、その陰に女があればこそと考えて、主人公をカネにしたと述べている。 相次いで神道などに転宗した夫の渡辺勝や兄の鈴木銃太郎に対し、カネは「開拓事業をやれたのは八割方神の力です」と後年に述懐しているように、キリスト教への信仰を生涯捨てることはなかった。聖書も常に手元に置き、終生、捨てることはなかった、英和辞典も手放すことはなかった。『帯広市史』においても、勝や銃太郎が、思想の転機があり、人間として時に迷いを見せていた一方で、カネは異常なまでに一筋に道を歩き通し、取り乱した形跡の見られない点が評価されている。
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