鐘状期
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/01/18 05:26 UTC 版)
鐘状期は組織と形態の分化が起こる事で知られている。この段階、鐘の形をしており、細胞の大部分はその星形の外観のために、星状網と呼ばれている。エナメル器周辺の細胞は三つの重要な層へと別れる。歯胚周囲の立方細胞は外エナメル上皮として知られる。歯乳頭と接しているエナメル器の円柱状の細胞は内エナメル上皮として知られる。内エナメル上皮と星状網の間の細胞は中間層として知られる。歯胚の端の内エナメル上皮と外エナメル上皮が接する地点はcervical loopと呼ばれる。 鐘状期に起こるのはこれのみではない。歯堤は発生中の歯を残し、口腔上皮から完全に分離する。以後、歯が口腔に萌出するまで、連結しない。 歯冠はこの時期に内エナメル上皮の形態によって影響を受けて形作られる。口腔内の至る所で、全ての歯はこの同じ過程をたどる。何故、歯が切歯や犬歯のような様々な形態の歯を形作るかはまだはっきりと判明したわけではないが、二つの有力な仮説がある。フィールド・モデルは、それぞれの歯種の構成要素が外胚葉性間葉組織にあるという物である。それぞれの歯種、例えば切歯のための構成要素は一つの区域に集中し、他の部分では急速に減少する。したがって、切歯の部分では切歯へと発達する要因があり、この要因は中切歯の部分に集中し、犬歯から遠心側の部分で急速に減少する。他の有力な仮説として、クローンモデルがある。これは上皮組織が外胚葉性間葉細胞の一部をそれぞれの形の歯に作るという物である。「クローン」と呼ばれるこれらの細胞の集団は歯の発生のために歯堤から歯胚を生じさせる。歯堤は、進行帯(progress zone)と呼ばれる部分で成長を続ける。進行帯が乳歯の歯胚から有る程度の距離を進めば、永久歯の歯胚の成長が始まる。これら二つの仮説がそれぞれ単独で形作られるという考えは受け入れられていない。両方のモデルがそれぞれ異なった段階で歯の発生に影響を及ぼしているのではないかと考えられている。 エナメル結節、エナメル索、エナメル陥凹がこの段階で現れる可能性がある。
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