録音現場での使用例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/07/05 04:35 UTC 版)
「ダイレクト・ボックス」の記事における「録音現場での使用例」の解説
1960年代中頃のイギリスでは4トラック・レコーダーでのレコーディングが一般的で、ビートルズをはじめとする当時のバンドはトラック数が足りなくなるたびにリダクション・ミックス(バウンス、いわゆるピンポン録音)することによってトラックの空きを作っていた。だが、その作業を繰り返す内に最初にリズム隊として録音されるベースギターの音は数回にわたりコピーを繰り返されることになってしまい、ミキシングする頃には「輪郭がぼやけた音」になってしまっていた。この問題に対処するため、ジョージ・マーティンとジェフ・エメリックからの要請を受けたアビー・ロードの技術陣が、録音コンソールやヘッド・アンプ、またはテープレコーダーにエレキ・ベースやエレキ・ギターのハイ・インピーダンス出力のジャックから低インピーダンスの機器へ直接(ダイレクト)接続(インジェクション)出来る機器を製作した。この発明により、ミュージシャンやレコーディング・エンジニアの望むエッジが鋭い音色でレコーディングすることが可能になった。 一例として、ジョン・レノンが『レボリューション』のイントロで聴かせる思い切り歪んだディストーション・サウンドは、彼のエピフォン・カジノを2台のダイレクト・ボックス(より正確にはマイク・プリアンプ)を経由してミキシングコンソールに接続し、オーバーヒート寸前まで信号を飽和させることで作られた。また、アルバム「アビイ・ロード」収録の『ジ・エンド』で3廻り目と6廻り目のギター・ソロに登場するジョン・レノンのギター・サウンドもダイレクトボックスの賜物である。
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