金融政策による結果として通貨安
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 09:21 UTC 版)
「通貨安競争」の記事における「金融政策による結果として通貨安」の解説
ジョセフ・E・スティグリッツは、2010年11月時点で「アメリカの量的緩和政策は通貨安競争というアメリカの戦略の一環として景気浮揚効果をもたらすかもしれない。金利低下によって為替レートは下がるが、これを為替操作と見なすか、金利低下の偶然の副産物と見なすかは重要ではない。確かな事は、ドル安がアメリカに貿易面で競争優位をもたらしているということである」「アメリカの政策は、ドル安誘導とともに、他国を通貨高につながる措置に追いやるという意味で、通貨安競争で効果を上げている」と指摘している。スティグリッツは、通貨安競争は「選ばれる兵器」だと述べており、「為替安誘導によって、輸出も可能になる」「もちろん、すべての国が他国より為替安にできるわけではない」と指摘している。 経済学者の浜田宏一は「日本が金融緩和策を伴わない為替介入を行う一方で、他国が金融緩和策により為替レートを切り下げると、それは日本にとっての『自国窮乏化策』になる」「各国が金融緩和競争によって通貨を下げてもおのずと限界があり、世界経済は壊滅的にならず、むしろ良くなる」と指摘している。浜田と経済学者の岡田靖は変動為替制度における為替切り下げ競争は、世界経済で望ましい状態をもたらすことを示している。 経済学者の原田泰は「全世界で金融緩和競争をすれば、景気が良くなりすぎて、過度のインフレになる国が出てくる。そのような国は自国の利益のために金融を引き締める。インフレのときに自国通貨が高まることは、国内需要を犠牲にせずにインフレを抑える効果がある。また、輸出が増えるときには必ず輸入も増える。しかも、輸出が増加したときには、輸出額から輸入額を引いた純輸出は減少し、輸出が減少したときには純輸出が増加する傾向がある。なぜなら、長期の輸出拡大は、設備投資の拡大をももたらすからである。投資の拡大は内需の増加で、当然輸入の拡大ももたらす。輸出増加はその国の景気を回復させ、さらには世界の需要も拡大させる」と指摘している。
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