遺留分制度の趣旨
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/06/22 23:06 UTC 版)
「日本の遺留分制度」の記事における「遺留分制度の趣旨」の解説
被相続人は自らの財産を相続分の指定、遺贈、生前贈与等で自由に処分することができるが、すべての財産を自由に処分できるとすると相続人の生活保障や推定相続人の相続への期待を保護できない。そこで民法は兄弟姉妹以外の相続人に対して相続財産の一定割合について遺留分という相続財産に対する権利を認める。 遺留分とは(一定の遺族に留めておくべき相続分)を定めた制度であって、ここにいう一定の遺族とは、配偶者、直系卑属、直系尊属を指す(民法1028条)。遺言によって、被相続人の自由な財産の処分を保障する一方で、残された相続人の生活を保障するため、遺留分制度を設け、一部制限している。明治民法下では、家督相続が中心であり、もっぱら遺留分制度は、戸主の自由な財産処分を制限して、家産の散失を防ぐことが目的であったが、昭和22年の家族法改正を経て、家督相続は廃止された。しかし、遺留分制度はほとんど手を加えられることなく残った。そのため、現代の遺留分制度は相続人の平等を保障する(均分相続の原則)、被相続人の遺贈や生前贈与など、特定の相続人に財産を集中させようとする意思を制限する機能を有することになった。戦後の遺留分の機能を積極的に肯定する意見も多かったが、近年の高齢化社会では、子が相続する時点で、すでに子は生活基盤を築いて(子も高齢になって)おり、遺留分を生活の保障とする見解には疑問が生じている。
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