遺伝学について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/13 14:42 UTC 版)
「ペーター・スローターダイク」の記事における「遺伝学について」の解説
スローターダイクは、自身が主催したシンポジウム(テーマは「哲学とハイデガー」)を終えた当時、とある論争を巻き起こすこととなる『「人間園」の規則』(既訳)という著作を発表する。この作品の中でスローターダイクは、文化や文明を「人為的温室」、すなわち人類文明のための装置であるとした。例えば、野生動物禁猟区はあくまで特定の野生動物を守るために作られた空間であり、人類の生存には適さない。逆を言えば、アリストテレスが言うところの「社会的動物」である我われ人類は、その動物(=人類)の生存を保障するより巧妙な政策を採用せねばならないのではないか、とスローターダイクは主張する。 ドイツ近代史上における失政、すなわちナチスの優生学に基づく政策への反省から、ドイツ国内では遺伝子操作に関する議論が避けられる傾向がある。しかし、スローターダイクはあえてそのタブーを破り、来るべき新世代の遺伝子技術には、より率直な議論と「生物-文化的」繁殖に関する(=より人類の生存に整合的な)規制が不可欠である、と説いた。この主張を目にしたユルゲン・ハーバーマスはスローターダイクを「ファシスト」と批評するが、この批判に対してスローターダイク自身は「ファシストという言葉を使うことで自分を貶めようとしているに過ぎない」と反論している。
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