適用上の問題点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/04 16:45 UTC 版)
「イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法」の記事における「適用上の問題点」の解説
この法律を巡る国会審議では「戦闘地域」とそれ以外とをいかに分けるかが問題となったが、そもそも「戦闘行為」が「国際的な武力紛争」と定義されている点も問題であると指摘される(詳しい定義は非戦闘地域の項目を参照)。政府は国際的な武力紛争は「国あるいは国に準ずるもの」間の武力行使であると答弁した(2003年7月4日衆議院特別委)。また、時の首相小泉純一郎は「どこが戦闘地域でどこがそうでない地域かなど私に分かるわけがない。この法律に関して言えば、自衛隊がいられるところが非戦闘地域」という答弁を行った(逆に考えれば自衛隊がいない・いられない地域は戦闘地域である)。 今後、「戦闘ではない」として、この法律の解釈、運用が自衛隊が内戦の“戦場”へ派遣される前例となると指摘する声がある(現に“ソマリア沿岸の海賊対策”を口実に、2011年、自衛隊初の在外基地がジブチに作られた)。2007年10月に民主党は、自衛隊イラク派遣を終了させることを目的として「イラク復興支援特別措置法廃止法案」を参議院で提出している。 また、名古屋高等裁判所青山邦夫裁判長は2008年4月17日、他の同種の訴訟と同じく、自衛隊イラク派遣についての違憲の確認と派遣の差し止め、損害賠償を求めた原告の訴えに原告全面敗訴の判決を下した。ただし、傍論として、原告の複数の訴え共通の事実認定を当裁判所の判断として、航空自衛隊部隊が多国籍軍兵士をバグダッドに輸送している事に鑑み、“戦闘地域での活動”とし、「他国による武力行使と一体化した行動で、自らも武力の行使を行ったとの評価を受けざるを得ず、武力行使を禁じたイラク特措法に違反し、日本国憲法第9条に違反する活動を含んでいる」とする問題点を指摘した。差し止め自体は棄却し、勝訴した国は上告できず、判決は確定した。
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