適応の可能性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/18 02:58 UTC 版)
腫瘍溶解性ウイルスの作用の特異性および可変性は、手術療法、化学療法、放射線療法といった他の治療法で治療しきれない癌を治療し得る可能性を秘めている。腫瘍溶解性ウイルスは重要な研究の一分野であるが、他の治療法を凌駕する結果を示せない間は使用されることはないであろう。従ってウイルス療法は他の治療が無効である患者に対して適用されるべきである。ウイルス療法の利点は、ウイルスが(自身の特性または遺伝子改変の結果)癌細胞に選択的であり、癌細胞に発現している成長因子や受容体をターゲットとすることにある。遺伝子操作をして腫瘍細胞死を起こすある特定の分子(インターロイキン-12、IL-12)を生成する単純ヘルペスウイルス(HSV)などの有効性の検討には、実験動物が用いられている。神経膠芽腫細胞の場合、マウスでは、IL-12増強HSVは腫瘍溶解作用のみならず血管新生抑制作用をも有し、腫瘍への血流を減少させていることが示された。 ウイルスの静脈注射は従来の治療法では手の打ちようのない転移癌に有効である可能性がある。しかし、血流中に放たれたウイルス粒子は抗体に無力化され、クッパー細胞などにより血中から速やかに除去される。
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