違憲審査制の分類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/29 20:34 UTC 版)
違憲審査制は付随的違憲審査制(司法裁判所型、アメリカ型)と抽象的違憲審査制(憲法裁判所型、ドイツ型)に大別される。 付随的違憲審査制(司法裁判所型、アメリカ型) 違憲審査権を司法権に内包するものと位置づけ、司法裁判所(通常の裁判所)が具体的事件を解決するのに必要な限度で違憲審査権を行使する方式。その判断は判決理由中に示される。付随的審査制はアメリカ、イギリス連邦諸国、ラテンアメリカの一部の国で採用されている。違憲の法令を適用することに対する個人の権利保護に重点を置く点で私権保障型(ここでいう私権は私人の権利という程度の意味であり、私法上の権利という一般的な用法とは異なる)ともいう。 抽象的違憲審査制(憲法裁判所型、ドイツ型) 違憲審査をするために特別に設けられた機関(通常は憲法裁判所)が具体的事案から離れて違憲審査権を行使する方式。その判断は判決主文中に示される。抽象的審査制を採用する国としてはドイツ、イタリア、オーストリア、韓国がある。違憲の法令を排除することにより法体系の整合性を確保することに重点を置く点で、憲法保障型ともいう。 ただし、今日の違憲審査制は、アメリカでも事件争訟性の緩和が図られ、また、ドイツでも私人が具体的事件における基本権侵害の排除を目的として憲法判断を求める憲法訴願(憲法異議)の場合が多く、実際にはともに接近する傾向にあるとされる。
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