運営会社の問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 16:06 UTC 版)
JR東海は、自社収入の85%(当時)を稼ぎ出す東海道新幹線の代替路線として中央新幹線を位置付け、東海道新幹線が更新工事で長期間運休することも念頭に、発足当初から中央新幹線の建設を働きかけていた。1988年、JR東海が中央新幹線を自社で運営することを前提に山梨実験線の建設費を負担する案が浮上すると、JRグループ内で対立が生じた。中でも東京圏でライバル関係にあるJR東日本は「JR東海の独走が認められたわけではない」と強く反発。JR東日本や西日本旅客鉄道(JR西日本)の在来線への影響を考慮せず、リニアの運営を独占しようとしていると激しく非難した。 1989年3月、JR東海とJR東日本、JR西日本、運輸省の幹部が極秘の会合を開いたと報道されている。『朝日新聞』によれば、この場で「中央新幹線をJR東海が一元的に経営する」「東京-甲府間と大阪-奈良間の在来線の収入減の影響は、各社間で経費配分する」ことが合意されたという。 1989年12月4日、江藤隆美運輸大臣(当時)は記者会見で、中央リニアをJR東海が一元的に管理するというJR3社の合意に異論はない、山梨実験線の建設費を負担するJR東海の役割は当然念頭においている旨を発言した。JR東海は、実験線建設費を負担するのは自社がリニアの経営主体になれることが前提だと発言した。1990年6月8日、運輸省は山梨実験線の建設計画作成をJR東海に指示した。22日、運輸省は公式に「中央新幹線の経営は、JR東海が東海道新幹線の経営と一元的に行う」ことを確認した。 2007年、JR東海が自己資金による中央新幹線建設を表明して以降も、JR東海は1990年の運輸省確認を根拠に自社一体経営を掲げている。しかし、中央新幹線のルートや駅の位置によっては、JR東日本の在来線の経営に影響を及ぼす可能性もあるとの指摘もある。
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