通貨の切り上げ・切り下げ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 09:01 UTC 版)
自国の通貨の交換比率を、他国の通貨に対して相対的に上げることを「通貨の切り上げ」という。金融引き締め政策を行うと、自国通貨の増価が発生する。 また、自国の通貨と他国の通貨の交換比率を引き下げる政策を「通貨の切り下げ」という。基本的には、自国の経済の防衛のために、基軸通貨である米ドルとの交換比率を、通貨当局が低く定める。通貨の切り下げは、あくまで緊急措置であり、国際経済では禁じ手とされている。通貨の価値はあくまでマーケットによって決定されるべきという大原則があるからである。 「通貨安競争」および「為替操作国」も参照 自国通貨を減価させれば、輸出増加・輸入減少圧力が働く。自国通貨の減価は、早い段階で輸入価格に転換され、輸入価格の上昇を招くという事実は、多くの実証モデルで示されている。 金利の低下は自国通貨の減価を招き、自国通貨の減価は経常赤字の縮小をもたらす。しかし、短期的には自国通貨の減価は経常収支の赤字をもたらさない。実際にJカーブ効果によって経常赤字の拡大を招く。投資家が経常赤字のファイナンスを続けなければ、通貨は際限なく減価する。 通貨の減価自体は資本流入に必要なインセンティブを生み出す。実際の通貨の減価幅は、投資家が要求するインセンティブによって決定される。
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