逐語式の無理、訳語の選択
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/07 08:19 UTC 版)
「機械翻訳」の記事における「逐語式の無理、訳語の選択」の解説
以下の英文を考える。 I ate rice. 実務での翻訳や通訳の経験が浅い人、その中でも特に もともと語学能力が低く、(普段から逐語式で「翻訳まがい」の作業をし)酷い訳文を作りがちな人などが、機械翻訳のソフトウェアを夢想すると、とりあえずきわめて素朴なルールベースの翻訳機を着想し、「rice」→「ご飯」のような1対1の変換(逐語変換)の規則を多数(変換用対照テーブル等の形で)持たせ、あとは統語法に基づいた語順変換処理などをして「私はご飯を食べた」という訳文を出力させるプログラムさえ作れば、翻訳機ができるのではないか? などと(浅はかにも)夢を見てしまいがちだが、次の英文を考慮すると、そんな単純なシステムでは全く実用的な翻訳機にならない、と理解できる。 We will have rice harvest tomorrow. この場合、「rice」→「ご飯」と、1対1の対照表で機械的に変換するシステムだと、たとえば「私たちは明日ご飯を収穫します」という、(お粗末な、使い物にならない)翻訳文しか出力されない。多くの言語間での「原語→訳語」の関係と同様に、英語の「rice」に対応する日本語も複数あり、文脈に応じて、(この文例では)「稲」「(お)米」「ご飯」などと訳し分けるものであることは当然必要であり、つまり翻訳機は、文脈に応じて訳語を適切に選択しないようでは全然実用性が無いので、当然この課題は解けるものになっていなければならない(ということは、機械翻訳開発のかなり初期段階で理解されていた)。
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