近似について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2013/09/22 14:21 UTC 版)
基礎となる上の運動方程式をそのまま積分することは通常行われておらず、対象となる惑星(実質的には地球)上における現状を反映(スケール・アナリシス)した何らかの近似を用いて解析的・数値的に解が求まりやすい形にしてから研究・数値積分が行われる。 最初に行われ、ほぼすべての場合で用いられる近似がコリオリの力の鉛直方向成分の無視である。鉛直座標を重力の方向にとるため、角速度ベクトルは極を除き南北方向成分を持つ(Ω = Ω(0, cos φ, sin φ)、ここで φ は緯度)。そのため、コリオリの力の 3 成分は、2Ω×u = (- 2Ωv sin φ + 2Ωw cos φ, 2Ωu sin φ, - 2Ωu cos φ) となる。地球上での流体の運動は水平方向が卓越し、水平方向速度は鉛直方向速度の 103 倍と見積もられ(スケール・アナリシス)、2Ωw cos φ の項は無視できる。この項を無視することにより、保存則を成り立たせるため - 2Ωu cos φ も消去する必要がある。結果として、コリオリの力を f k×u = (- fv, fu, 0) に近似する。ここで f = 2Ω sin φ はコリオリパラメータと呼ばれる。 このコリオリパラメータの簡単化(f 平面近似、β 平面近似)の他、静力学平衡(静水圧平衡)近似、主に海洋力学で用いられる非圧縮近似、あるいは準地衡近似などが用いられ、プリミティブ方程式や準地衡方程式などが導出され、数値計算や解析研究に用いられる。
※この「近似について」の解説は、「地球流体力学」の解説の一部です。
「近似について」を含む「地球流体力学」の記事については、「地球流体力学」の概要を参照ください。
- 近似についてのページへのリンク