近似を高めた式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/12 01:21 UTC 版)
上の簡単な式は、電離度 α が大きくなるほど近似が悪くなる。二次方程式の解の公式を使うと、弱酸溶液の水素イオン濃度 [H+] をより正確に計算できる式が得られる。 [ H + ] = c α = 1 2 ( K a 2 + 4 c K a − K a ) {\displaystyle [\mathrm {H} ^{+}]=c\alpha ={\frac {1}{2}}\left({\sqrt {{K_{\text{a}}}^{2}+4cK_{\text{a}}}}-K_{\text{a}}\right)} この式から求めた [H+] を使うと、より正確なpHを計算することができる。 c = 0.1 mol/L の酢酸 [H+] = 0.0013 mol/L, α = [H+]/c = 1.3% pH = 2.9 電離度が1%程度のときは、簡単な近似式 [H+] = √cKa から求めたpHが十分に正確であることが分かる。 c = 0.1 mmol/L の酢酸 [H+] = 0.034 mmol/L, α = [H+]/c = 3.4% pH = 4.5 濃度が低くなると、電離度が大きくなるので簡単な近似式の精度は悪くなる。 c = 0.1 mol/L のスルファミン酸 [H+] = 0.062 mol/L, α = [H+]/c = 62% pH = 1.2 電離度が大きい場合でも、pHを計算することができる。 c = 0.01 mmol/L のフェノール フェノールの酸解離定数 Ka は、ほぼ 10−10 mol/L である。簡単な式で計算すると pH = 1/2(10 − log10 0.01×10−3) = 7.5 となり、pHが7を越える。電離度が小さいので、近似を高めた式でも同じ計算結果になる。 この計算結果は、弱酸の水溶液を水で薄めていくとアルカリ性を示すようになる、ということを意味するので、明らかにおかしい。
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