近似図形
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/07/05 02:43 UTC 版)
フランス語では、底辺がフィールドの幅いっぱいに広がる三角形がチーフに達している図をシャーペ (chapé) と呼び、その上下逆の図をショーセ (chaussé) と呼ぶ。同様に、フィールドの左右から伸びる大きな三角形によるものをアンブラッセ (embrassé) と呼ぶ。更に、ベースからチーフに伸びるパイルで、フィールドの4分の1ほどしか高さのないものを matelé と呼び、パーティ・パー・シェブロンと非常によく似た図になるものもある。これらの図は、 フィールドの分割として捉えられることが多いようであるが、他の分割と異なり、分割に用いるティンクチャーを2色並べて記述せず、De gueules chapé d'argent. などのように、あたかもチャージのようにシャーペの名前の後にティンクチャーを書くこともある。しかも、シャーペの後にあるティンクチャーを中央の三角形ではなく、その両脇の領域に配色することになっている。そのため、幅の広いパイルの形状にフィールドが見えていると考え、シャーペは両脇の図形を指すチャージのようにも見える。このような特徴から、これらの図形に触れていながら、分割として紹介していない文献もある。 これらの図形はフランスをはじめとする大陸ヨーロッパの紋章に見られ、イングランドではごく稀にしか見られない。同じような図を英語で記述したいとき、これらの語をそのまま借用するか、パー・パイルに置き換えている。これはシャーペをパー・パイルと同一視することがあることを示しているが、シャーペとはそもそも三角形の両脇の図形を指す言葉でありパー・パイルは中央の楔を基準にしているため、これらは別の物であり、同一視はできないという説がある。また、同一視以前にパー・パイルというフィールドの分割方法は存在しないという説もあり、お互いに矛盾している部分があるため、紋章を記述する者がどのような立場をとるかによって左右されうる。なお、ショーセはシャーペの逆図形とされており、パイルとパイル・リバーストの関係とは反対の関係にある。 シャーペArgent, chapé Gules.又はPer pile Argent and Gules. ショーセArgent, chaussé Gules.又はPer pile reversed Argent and Gules. アンブラッセArgent, embrassé sinister Gules.又はPer pile traverse Argent and Gules.
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