超重元素の合成法と特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/21 14:05 UTC 版)
「超アクチノイド元素」の記事における「超重元素の合成法と特徴」の解説
超重元素はすべて天然には存在しないため、2種類の方法で合成される。1つは、金属原子に別の金属原子をイオンビームにして衝突させるもので、「冷たい核融合反応」と呼ばれる。もう一つは、アクチノイド元素に、イオンビームにした軽元素原子を衝突させるもので、「熱い核融合反応」と呼ばれる。ここで言う「熱い」「冷たい」とは、衝突によって生じる新元素の励起エネルギーの量を表すものである。共に、まず二つの原子が衝突して励起された複合核を生じ、これがすぐに中性子(n)を放出して超重核種ができる。 たとえば、原子番号(Z)104番のラザホージウム(Rf)を合成するには、カリホルニウム(98Cf)に原子番号6の炭素(6C)をイオンビームにして衝突させる。この核反応は、 249Cf+12C→(261Rf*)→257Rf+4n または簡略化して 249Cf(12C,4n)257Rf と表される。ここでは、261Rf*が複合核であり、257Rfが4個の中性子を放出してできた超重核種である。 超重元素は全て放射性元素であり、半減期が数マイクロ秒~数秒程度の非常に短命な核種が多い。そのため、同定・確認に時間がかかり、詳しい化学的性質はあまりわかっていない。ただしドブニウム268のように数時間程度の半減期を持つ核種も一部あり、また原子番号114付近には安定の島と呼ばれる長寿命の核種の存在が予想されている。 なお、超重元素では中心にある原子核の正電荷に比例して周りの電子との相互作用が非常に強くなる。それに従い、内殻電子の速度は光速に近づき、相対論効果で質量が重くなるためにその軌道半径は収縮する(直接的な相対論効果)。一方、外殻電子の軌道半径は、内殻軌道の収縮により原子核の正電荷が遮蔽されるため逆に大きくなる(間接的な相対論効果)。これらの現象は原子番号に比例して大きくなるため、化学結合に関与する原子価電子が大きく変化し、超重元素は周期表上の同属元素とは異なった化学的性質を持つ事が予想されている。
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