質量殻
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/08/11 15:15 UTC 版)
「オンシェルとオフシェル」の記事における「質量殻」の解説
質量殻(mass shell)という用語は、質量双曲面(mass hyperboloid)という用語から来ていて、これは、次の等式を記述するエネルギー-運動量空間の双曲面(hyperboloid)を意味する。この恒等式は質量殻条件と呼ばれる。 E 2 − | p → | 2 c 2 = m 2 c 4 . {\displaystyle E^{2}-|{\vec {p}}\,|^{2}c^{2}=m^{2}c^{4}\ .} この式は質量 m の粒子の特殊相対論で許されるエネルギー E で運動量 p の組み合わせを記述する。ここに c {\displaystyle c} は光速度である。質量殻の条件も、アインシュタインの縮約記法で四元運動量の項でしばしば記述される。ここに自然単位系として c = 1 とすると、 p μ p μ = m 2 {\displaystyle p^{\mu }p_{\mu }=m^{2}} あるいは、より簡単に p 2 = m 2 {\displaystyle p^{2}=m^{2}} としても表される。 散乱振幅を記述するファインマンダイアグラムの中の外線はオンシェル(on shell)、内線プロパゲーターに対応する仮想粒子は、オフシェル(off shell)で記述される。ファインマン・ダイアグラムから得られる結果は、すべてon-shell粒子のみによって記述される。なおこの過程の振幅は、オフシェルからの離れ具合に依存して減少する。またこのプロパゲーターは質量殻上に特異点を持っているため、プロパゲータの議論をする際は、便宜上この特異点を避けるような複素平面上の経路を取るように修正される。この修正を施しても、物理的な意味合いは変わらない。 古典論では粒子のエネルギーが負であることは許されないのであるが、プロパゲーターのことを言うときは、方程式を満たす E の負のエネルギーの値は、オンシェルにあるとして考える。このことの理由は、一方向へ粒子がエネルギーを運んでいる場合の一つの表現となっていることと、反粒子が反対の方向へエネルギーを運んでいることとして考え、従って、正と負のオンシェル E 単純に位置エネルギー反対の流れを表していると考える。
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