資料としての化石人骨
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/05 05:43 UTC 版)
古人類学が対象とする標本資料は人類の歯や骨であり、その多くは破片として発見され、全身骨格が得られることはきわめてまれである。化石の生成、およびそれが何万年にもわたって保存される条件やプロセスはきわめて複雑なため、標本の検出状況には大きな偏りがある。化石資料から得られる重要な知見としては、脳頭蓋さらには脳の大きさと形態、あごなど咀嚼器官の発達状況、歯牙の細部、人体全身の大きさや外観・姿勢、身体各部の大まかな比率、筋肉の発達状況、性別、年齢などが挙げられる。人骨の出土状況によっては、道具の使用や葬送など、生活状態の一側面が確認できる場合があり、この場合は考古資料としてもきわめて重要な意味を持っている。 今後は人骨に残存するDNAの分析などを通じて、より詳細な進化の系統が明らかにされる可能性を含んでいる。 以上のように標本そのものの分析や検討、およびそれに共伴して発見される自然遺物・文化遺物のデータの記録・保存、それを活用しての研究、さらに古環境や年代などを総合して考察することにより、遠い過去の人類の実態を復元し、進化の道すじを解明する基礎としていくのである。
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