資料と表記
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/31 03:30 UTC 版)
古代朝鮮語期はハングルが作られる以前の時期であるので、その資料は『三国史記』、『三国遺事』などの朝鮮や近隣諸国の歴史書に現れる地名や人名、吏読・郷札・口訣など漢字表記された資料に限られる。朝鮮語が漢字によって暗示的に表示されるため、その語形を厳密に復原するのは容易でない。以下に、いくつかの復原例を示す。 『三国史記』(巻34)の新羅地名「永同郡本吉同郡」の記述から「永」と「吉」が等価であることが分かる。この部分の元の朝鮮語は「*길」であると推測されるが、「길」と同音の漢字を当てて表記したものが「吉」であり、形容詞「길-(長い)」の意の漢字を当てて表記したものが「永」である。このことから、新羅において「長い」の意の形容詞が,現代朝鮮語と同じく「길-」であったと推測することができる。 郷歌「処容歌」に現れる郷札表記「遊行如可」は「*놀니다가」あるいは「*노니다가」と解釈される。「如可」は吏読において「다가」と読まれ、郷歌においても同様だったと推測される。「遊」、「行」はそれぞれ中期朝鮮語の「놀-(遊ぶ)」、「니-(行く)」と関連づけられ、その合成語「노니-(遊び回る)」であると推測される。ただし、中期朝鮮語では「놀-(遊ぶ)」の音節末子音(ㄹ)が脱落するが、古代朝鮮語では脱落していなかった可能性がある。
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