貧血性梗塞と出血性梗塞
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 04:19 UTC 版)
貧血性梗塞 急性期には肉眼的異常所見を指摘するのは困難である。組織学的には発症1〜3時間ではニューロピルに微細な空胞性変化が出現する。海綿状変化ともいわが浮腫液のため透明度が増したように見え、灰白質と白質の境界が不明瞭になる。組織学的には病巣の染色性が著しく低下する。3日目より梗塞巣内にマクロファージの浸潤が始まり、壊死組織を貪食して泡沫状マクロファージとなる。マクロファージは約3ヶ月間存在するとされているが、梗塞巣が大きい場合は数年間認められることもある。梗塞巣周囲の白質では軸索腫大(またはスフェロイド)が観察される。同部位はエオジン好性、嗜銀性を示しAFP(アミロイド前駆体蛋白)が蓄積している。白質線維束の一部にもAFP陽性像が認められることもある。発症後1週間以降になると梗塞の辺縁部で反応性アストロサイトの増生と新生毛細血管が認められる。この時期の反応性アストロサイトは肥胖型アストロサイトである。エオジン好性で磨ガラス状の広い胞体と短い突起を有する。3〜4ヶ月になると壊死組織がマクロファージに貪食されて空洞化し、空洞内部は脳脊髄液で満たされる。空洞の周囲組織では反応性アストロサイトは細長い突起を有する線維性アストロサイトとなり線維性グリオーシスの状態となる。線維性アストロサイトは胞体内のグリア細線維を残して細胞自体は徐々に消退し、グリア瘢痕を形成する。梗塞巣が小さい場合はグリア瘢痕のみを残す。1cm3の脳梗塞が完全に空洞化するのに3ヶ月を要する。 出血性梗塞 梗塞に陥った灰白質に点状出血を伴うものである。貧血性梗塞の二次性変化である。組織学的には毛細血管や小静脈周囲の漏出性出血として認められる。肉眼的に貧血性梗塞であっても顕微鏡的には出血性梗塞であることもある。
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