請求異議訴訟
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 15:52 UTC 版)
「開門しろ」「開門するな」「開門してもしなくても制裁金はどちらかに払え」という「捻じれた司法判断」を受けた国は、その解消に向けて確定判決を無力化する請求異議訴訟(民事執行法第35条)を起こす。2014年12月の1審佐賀地裁では国側は敗訴したが、2018年7月30日に福岡高裁は、制裁金の支払いを認めた一審佐賀地裁判決を取り消す決定を示し、漁業者側への制裁金の支払い停止を認めた。判断の理由としては開門の是非には踏み込まず「開門請求権の根拠となる共同漁業権が既に消滅している」ということを理由として挙げた。農水省で陣頭指揮を執っていた末松は、2018年からトップの農林水産事務次官になっていた。諫早市長の宮本は判決を歓迎するコメントを発表し、末綱を訪ねて今後の協力を要請した。一方、漁業者側は支払いの再開を求めて最高裁へ上告した。 2019年9月の上告審では、最高裁は「漁業者側が開門を求める前提となる漁業権は再び与えられる可能性もある」として、漁業権が消滅するという理由だけで以前の判決の無力化は認められないとの判断を示し、2018年7月の高裁判決を破棄して福岡高裁に差し戻した。この判決では開門の是非に言及しなかったが、開門を命じた確定判決の無効化もあり得ると示唆した。国は開門しない前提で、100億円の基金を元に和解を求めていく方針だが、2019年9月時点でも漁業者側弁護団はこれを拒否する態度を強めている。判決後に都内の憲政記念館で開催された開門派の集会には、菅直人も駆けつけ「開門確定判決が(今回の差戻しで)ある意味で生き返った。潮受け堤防を全部壊して撤去すべきだ」とコメントした。
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