誘引と束縛
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/27 05:44 UTC 版)
カルマの束縛は「アースラヴァ」と「バンダ」の二つの過程の結果として起こる。「アースラヴァ」はカルマの流入である。カルマの流入は「ヨーガ」によって微粒子が霊魂に誘引されたときに起こる。「ヨーガ」とは心、言葉、体の活動によって起こる霊魂の振動である。ただし、ヨガ自体は束縛を生み出さない。カルマは自身が意識に結びつけられたときに効果を発揮する。このカルマの意識への結びつき、束縛が「バンダ」と呼ばれる。束縛の様々な原因の中でも、感情・情動が束縛の主要な原因とされる。カルマは、説明の上では、様々な情動あるいは心的性質による霊魂の粘り気のために結びついているとされる。憤怒、傲慢、欺瞞、強欲といった情動は、霊魂に業の微粒子がくっついて「バンダ」が成立する際に接着剤のような働きをするために、ねばねば(カシャーヤ、kaṣāya)と呼ばれる。情動・感情によってもたらされる「ヨーガ」によるカルマの流入は転生のサイクルを通じて続くカルマの流入を起こす。一方、情動や感情に関係ない行動によるカルマの流入は一時的な、長続きしないカルマの効果しか起こさない。このため、古代のジャイナ教の聖句ではこういった負の感情を抑え込むことが述べられている: 彼が自分にとって良い物を望むなら、彼は悪を増大させる四つの過ち―憤怒、傲慢、欺瞞、強欲―を捨て去るべきである。憤怒と傲慢は抑制されていない時に、欺瞞と強欲は生じているときに。これら四つの黒い情動は皆、再生の根源に給水する。 —『ダシャヴァイカーリカ・スートラ』, 8:36–39
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