計画の放棄
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/17 08:06 UTC 版)
ベートーヴェンは最終的に『ヴェスタの火』のリブレットとシカネーダーとの共同作業の両者を耐え難く感じ、計画を中断してしまった。彼はヨハン・フリードリヒ・ロホリッツに宛てた書簡で自らの見解を表明している。 私はついにシカネーダーを袂を分かちました。彼の王国は才気があり思慮深いフランスのオペラの光の前に完全に陰ってしまっています。それまでの間、彼はすっかり6か月間も私を裏に留めていました。彼が舞台効果を創り出すことに長けていることは否定すべくもなく、だからこそ単純に彼に普通のものに増して巧みなものを生み出してもらいたいと願うが故に、私は自分自身を欺いていました。私はなんと間違っていたことか。少なくともリブレットの韻文と内容が誰か別の人間によって訂正、改善されることを望んでいましたが、無駄でした。そうするようにこの傲慢な同僚を説得するのは不可能だったからです。そうですね、いくつかの曲は書きましたが、彼との取り決めは放棄してしまいました。ローマという主題(私にはその計画も何も全く伝えられていなかったわけですが)とウィーンのリンゴ売りの女性たちの口から出るような言語や韻文を思い描いてみてください。 モーツァルトはベートーヴェンと異なりシカネーダーとの合作を成功という結果に導くことができたわけであるが、ベートーヴェンは死してしばらくになるモーツァルトになにがしかの感情移入をしていたに違いない、とロックウッドは推測している。
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