言語表記と言語形成~漢字の特徴を活かした当て字文化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/22 08:31 UTC 版)
「ギラード・ツッカーマン」の記事における「言語表記と言語形成~漢字の特徴を活かした当て字文化」の解説
ツッカーマンは、北京官話と明治以降の日本語における音訓語呂合わせ(phono-semantic matching)の事例の探索の結果、漢字は多機能的であると結論付けた。すなわち、漢字は疎義的(cenemic=意味が疎、つまり音描写的phonographic)であり、「密義的」(pleremic=意味が密、つまり訓描写的logographic)であり、そして疎義的であると同時に密義的(つまり音訓描写的)でもあるという多機能性を持つ。例えば、日本語では、イギリスの紳士服を言い表すのに「背広」という二つの漢字を当てて、その意味をもって紳士服を着た後姿を写すと同時に、その訓読みの音「セビロ」をもってロンドンの紳士服の仕立屋が軒を並べた通り「サェヴィル・ロゥ」(Saville Row)に掛けた掛詞にした例、また英語のクラブ(club)を言い表すのに「倶楽部」という三つの漢字を当てて、その音を表現すると同時に「倶に楽しむ部屋」という意味をも表現した事例などが、この漢字の多機能性をよく表している。ツッカーマンは、以上の当て字事例から、「言語はどのような文字で書かれようとも同じである」というレオナード・ブルームフィールド(Leonard Bloomfield)説は不正確であり、「もし中国人がローマ字を使用していたら、中国語の語彙のうち数千はそもそも出来なかったか、全く別の形の語彙になっていたであろう」と主張している。
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